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10月13日の物語

10月15日
読了時間: 2分

「すごーい!やりたい!」


けいちゃんの弾くギターを見て、マキの目が輝いた。

この日のラウンジでは、そんな何気ない一言から、小さな挑戦が次々と始まっていった。


集まったのは、けいちゃん、マキ、みずきちと、顔馴染みの友人たち。


みずきちは自分が主催する舞台の話、マキは出演作品の話、けいちゃんは好きなアニメの話。

それぞれ違う話題で盛り上がりながらも、誰かの話に耳を傾けたり、ふと会話に加わったり。

同じ場所にいるだけで落ち着ける、そんな穏やかな時間が流れていた。


そんな中、けいちゃんのギターに興味を持ったマキが、弾き方を教わることに。


まずは持ち方から。

そして、いきなり難関のFコードに挑戦したものの、思うように指が動かず、思わずうめき声が漏れる。


けいちゃんもみずきちも友人たちも、そんなマキをあたたかく見守っていた。


続いてCとGを教わると、マキはみんながおしゃべりしている間も黙々と練習。

少しずつ音が形になり、最後にはけいちゃんから「いい響きだね」と褒めてもらえた。


その姿に刺激を受けたのは、みずきちだった。


「ギターはFコードで挫折しちゃったけど、ピアノならいけるかも!」


そう言って今度はピアノのコード譜と向き合い始める。


挑戦するのは、スピッツの「チェリー」や「ジャンボリミッキー」。

聞こえてくるのは、言われてみれば確かにその曲かもしれない、という絶妙な演奏。

それでも少しずつ曲らしくなっていく音に、自然と笑顔がこぼれた。


いつかマキのギターと、みずきちのピアノを合わせられたら。


そんな楽しみまで生まれていた。


この日は、誰かが頑張っている隣で、別の誰かが好きなことを話していた。

上手にできなくても笑い合えて、少しできるようになれば一緒に喜んでくれる。


まだぎこちないギターとピアノの音も、いつか二人で奏でる曲の始まりになるのかもしれない。


その日を楽しみにできることが、なんだか嬉しかった。


それぞれの好きなことが、少しずつ誰かの「やってみたい」に変わっていく。

そんなあたたかな音が、いつまでもラウンジに残っているような夜だった。

 
 

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