10月28日の物語
「馬ですか?」
十五問目にして、ようやく核心を突く質問が飛び出した。
水曜日のラウンジでは、いっちー、せいと、りのと友人たちが「無知ネーター」という不思議なゲームに挑戦していた。
普通のアキネーターとは逆に、お題を決めるのは、その分野をよく知らない人。
今回はディズニーに詳しくないいっちーが、白い馬のキャラクターを選んだ。
「それは動物ですか?」
「そのキャラクターはオスですか?」
みんなは質問を重ねるが、なかなか答えにたどり着かない。
残された質問は、あと一つ。
そこで出たのが、あの「馬ですか?」だった。
それまでの答えを一つずつ繋ぎ合わせ、ついに正解へ。
十五問を使い切ってたどり着いた瞬間、ラウンジには歓声が広がった。
一方、せいとは二本の脚本を書かなければならず、みんなにアイデアを求めていた。
流行りの言葉や歌、人気のアプリ。
誰かが話題を出すたびに、せいとの頭の中で新しい物語が動き始める。
りのといっちーも張り切って提案したものの、すでに書いたことのある内容だったり、せいとにはよくわからなかったりで、ことごとく却下されてしまった。
それでも会話は止まらない。
あれはどうだろう、これは使えるかもしれない。
そんなやり取りを続けるうちに、必要だった二本に加え、さらに二本ほどの構想まで生まれていた。
思いがけない収穫に、せいともみんなへ感謝を伝えた。
考えてみれば、無知ネーターも脚本作りも、少し似ていた。
最初から答えを知っている人はいない。誰かの一言を手がかりに、少しずつ形を見つけていく。
ただし、ゲームでは最後の一問が正解を導いたのに、脚本では、りのといっちーの案が最後まで採用されなかったのが、なんともおかしかった。
それでも、思いついたことを気兼ねなく口にできるから、次のアイデアが生まれる。
知らないものを一緒に考え、まだない物語を一緒に探す。
十五問目でようやく見つかった白い馬も、せいとの頭に生まれた新しい脚本も、誰かと話していたからこそ出会えたものだった。
気づけば、あっという間に夜が更けていた。
答えが見つかった嬉しさと、まだ形になっていない物語への期待が、穏やかなラウンジに残っていた。
