10月23日の物語
「僕が別班だー!」
シューティングゲームの激戦を制したがくしが、謎の勝利宣言を響かせた。
この日のラウンジには、マキ、りの、がくし、くぼりおの四人。
昨日までに完成した脚本を、いよいよ声に出して形にする日だった。
がくしが配役を決め、読み合わせが始まる。初めて見る言葉に戸惑ったり、「転」で突然現れるトルンプとペリカンに笑ってしまったり。
それでも台詞を重ねるうちに、紙の上にあった人物たちが少しずつ息づいていく。
ひと通り読み終えると、みんなで作品のタイトルも考えた。
そんな合間に、くぼりおが突然ダーツを始めた。
つられて全員が挑戦し、やがて「これやろうよ!」とシューティングゲームへ。
最近、銃を持つ役を演じた経験のある四人は、構えだけなら誰もが一人前。
中でもマキは抜群の腕前で、二回続けて勝利した。
負けず嫌いのがくしは「次は遠くからやろう!」と提案。
距離が伸びると途端に難しくなり、勝負は接戦に。
ようやく勝ち取った一勝が、冒頭の叫びに繋がったのだった。
ひとしきり笑ったあとは、再び脚本の世界へ戻る。
今度は読み合わせを撮影することになり、四人でカメラや小道具を準備。
和風の音響を探し、照明にも工夫を凝らした。
そして、撮影開始。
さっきまで笑い合っていた四人の表情が変わる。
台詞を交わし、目線を重ねるたびに、物語の空気が深まっていった。
「起」から「承」、そして「転」を経て「結」へ。
最後の台詞を読み終えたとき、四人には確かな達成感が残っていた。
月曜日に誰かが考えた一言を、火曜日の誰かが膨らませ、水曜日には思いがけない方向へ転がり、木曜日に結末が生まれた。
そして金曜日。
その物語に、四人の声と表情が加わった。
思えば、シューティングゲームでの見事な構えも、台本を読むときの真剣な眼差しも、同じ四人のものだった。
ふざけるときは思い切りふざけて、芝居が始まれば一瞬で空気が変わる。
そんな仲間だからこそ、できあがった作品にも、それぞれの色が宿ったのだろう。
一週間かけて紡がれた物語は、ようやく誰かの声を持った。
撮影を終えたラウンジには、完成した喜びと、まだ少し役の余韻をまとった四人の笑顔が残っていた。
