10月15日の物語
「オバケが無理。怖い」
絶叫マシンも高いところも平気なはるきが、神妙な顔でそう答えた瞬間、ラウンジは「可愛いー」という笑い声に包まれた。
この日は、はるき、がくし、れみーと、遊びに来た友人で、懐かしい音楽を聴きながら過ごす夜だった。
始まりは、がくしとはるきのポケモンソング談義。お気に入りの曲として、はるきが「謎の少女、再び(迷宮)」を紹介した。
旅が始まるような高揚感と、どこか切ない異国の雰囲気。
みんなで耳を傾けるうちに、それぞれの懐かしい曲も次々と流れ始めた。
れみーが「フィニアスとファーブ」のオープニングを流せば、友人とがくしが懐かしさに大喜び。
友人がアイカツの歌詞を見せてくれたり、がくしとはるきも好きだった曲を口ずさんだり。
子どもの頃には気づかなかった歌詞の意味に、今だからこそ頷ける瞬間もあった。
やがて話題は、学生時代の合唱曲へ。
「旅立ちの日に」を最近まで知らなかったというはるきの告白に、みんなはびっくり。
そのまま全員で歌い始めると、懐かしい旋律に、それぞれの学生時代の記憶が重なっていった。
音楽の話がひと段落すると、今度は友人のお土産話からテーマパークの話へ。
れみーは乗り物酔いしやすく、絶叫マシンが苦手。がくしは高所恐怖症で、飛行機では怖いからこそ外が見える窓際を選ぶという。
れみーからは、乗り物酔いを避けるための独自のアドバイスまで飛び出した。
一方、乗り物も高さも平気なはるきに、みんなは「怖いもの何もないの!?」と驚く。
そこで返ってきたのが、あの「オバケが無理。怖い」だった。
懐かしい曲を聴けば、忘れていた頃の自分を思い出す。怖いものを聞けば、今まで知らなかった友人の一面が見えてくる。
歌ったり笑ったりしているうちに、あっという間に帰る時間になった。
「また来るね」
笑顔で帰っていく友人を、三人も笑顔で見送った。
今日聴いた曲を、次にどこかで耳にしたら、きっとこの夜のことも思い出すのだろう。
そして、はるきが怖がるオバケの話も、しばらくはみんなの笑い話になりそうだった。
懐かしい歌に新しい思い出がひとつ加わって、木曜日のラウンジは穏やかに夜を終えた。
