10月5日の物語
「はやい!まだ喋り足りない!」
ラウンジの使用終了を知らせるアナウンスが流れた瞬間、思わずそんな声が上がるほど、この日は話して笑って、時間が過ぎるのを忘れる夜になった。
始まりは、がくしが名前を見て気になったボードゲーム「正気の沙汰じゃない犯行予告」。
せっかくならみんなで大喜利形式にしようと提案し、住民も友人も巻き込んで遊び始めた。
一人ずつ完成したお題を披露していくと、その名に負けない正気の沙汰ではない回答が次々と飛び出す。
誰かが発表するたびに笑いが起こり、人数以上の賑やかさがラウンジに広がっていった。
ひとしきり笑ったあとは、みずきちが出演していた「悪魔の恋愛診断展」の話から恋愛価値観を当て合うことに。
全31問。
参加者の回答割合も見ながら、「この人ならどっちを選ぶ?」と予想していく。
みずきちとせいとは、一緒に過ごす時間が増えたからなのか、お互いの答えをほとんど当てていた。
当日展示を見てきたばかりの友人も加われば、話はさらに広がっていく。
同じ意見に頷いたり、思いがけない答えに驚いたり。
ひとつの質問から、それぞれの考え方が少しずつ見えてくるのが面白く、気づけば31問を最後まで楽しんでいた。
だからこそ、終了のアナウンスが流れたときには、みんな揃って「もうそんな時間?」という顔をしていた。
まだ話したいことも、聞きたいこともきっと残っていた。
時間が足りないと思えるほど誰かと話した夜は、それだけで少し嬉しい。
言い足りなかった言葉は、またここに集まる理由として残しながら、賑やかな夜は名残惜しく終わっていった。
