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10月9日の物語

10月10日
読了時間: 2分

「自分が思う自分」と「誰かから見た自分」は、案外違うらしい。


この日のラウンジでは、そんな小さな発見から、思いがけない会話が次々と生まれていった。


集まったのは、しおん、ささみ、みずきちと三人の友人たち。

初めましての人もいたけれど、始まったのは遠慮のない「ミリ知ら他己紹介」だった。


相手の第一印象だけを頼りに、学生時代に入っていそうな部活などを勝手に予想していく。

突然話を振られた友人たちも次々と答え、根拠なんてないはずなのに、なぜか何人もの意見が一致することもあった。


自分では気づかなかった印象が、誰かの目にはちゃんと映っている。

役者としてどんな役が似合うのか、考えるきっかけにもなりそうだった。


続いては、Xで話題の「浮気調査シート」。


どこからが浮気なのかを話し合ううちに、ささみと友人の一人はすっかり意気投合。

一方、しおんと別の友人は「それは信頼が足りていないのでは?」と異なる意見をぶつける。


同じ質問なのに、答えは人それぞれ。

頷いたり、驚いたり、時には反論したり。

意見が違うからこそ、会話はますます面白くなっていった。


そんな中、みずきちが出演予定のイマーシブ作品をもっと知ってもらいたいと、自作の宣伝画像を披露した。


作品の魅力を余すことなく伝えたいあまり、画像には説明の文字がぎっしり。

それを見たささみとしおんから、思わず「これじゃ目が滑る!」と赤ペンが入る。


最初に目を引く言葉を置き、次に読む部分で興味を持ってもらう。

ささみの助言にみずきちも大きく頷き、文字の大きさや配置を変えていくと、画像は見違えるほど伝わりやすくなった。


第一印象を考えたり、恋愛観の違いを知ったり、誰かに届く言葉を探したり。


振り返ればこの夜はずっと、自分の思いと相手に伝わるものの違いを、みんなで面白がっていたのかもしれない。


初めましてだった友人とも、笑いながら意見を交わせた夜。

違う考えに出会うたび、知らなかった誰かの一面が少しずつ見えてきた。


みずきちが一人で考えていた宣伝画像は、みんなの意見を借りて、誰かの目を留める一枚へと変わった。


そして、この夜の会話も同じだった。


自分一人では気づけなかったことが、誰かの何気ない一言で見えてくる。


最初は知らなかった誰かのことも、帰る頃には少し違って見えていた。


そんな発見を重ねながら、初めましての距離がいつの間にか縮まっていた夜だった。

 
 

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