1月10日の物語
- 1月11日
- 読了時間: 2分
更新日:1月11日
最初はラウンジの席に余白があった。
いっちー、あゆむ、みやび、たいがと、友人が数人。
暖房の風にまどろむみたいな穏やかさの中、たいががオセロ盤を出す。
相手は、めちゃくちゃ強いいっちーの友人。
勝負はあっという間に決まって、たいがは大敗を喫し、なぜか土下座までさせられた。
笑いながらの土下座は、悔しいより先に可笑しくて、友人の連勝記録だけが淡々と伸びていく。
やがて、うめしゅーの誕生日アルバムに載せる写真を撮ろう、という流れになる。
カメラを向けると、みんなの表情が少しだけ“よそゆき”になるのに、すぐに崩れる。
あゆむとみやびの可愛いショットに「あれがいい」「これ可愛い」と声が飛び、いっちーとたいがは組体操みたいにくっついて、笑いながらポーズを変える。
撮られているのに、遊んでいる。
遊んでいるのに、ちゃんと残る。
そんな時間だった。
いつの間にか友人も増えて、ラウンジは活気で満ちていた。
いっちーの友人が「人間itoやりたい!」と言い出して、ステータス付きのエチュードが始まる。
言葉を探す声、探り合う間、誰かの小さな頷き。
ところが、いっちーだけが一切喋らない。
みんなが半笑いで様子を見ていた、その終盤。
いっちーがぽつりと、たった一言。
「おれが最強」
間が一拍遅れて、すぐに「喋れや!」のツッコミが殺到し、その日いちばんの笑いが天井まで跳ねた。
こうして、まったり始まった夜は、最後にはしっかり賑やかで、それでもずっと安心感があった。
誰かが勝って、誰かが負けて、写真に残るくらい笑って。
ラウンジの灯りは、今日もいつも通り、みんなの輪郭をやさしく照らしていた。
