3月10日の物語
この日のラウンジは、声と言葉をめぐる夜になった。
きっかけは、ささみの一言。
「前にWeb広告のナレーション録りをしたとき、アクセントをたくさん直されて大変だったんだよね。」
その話を聞いて、みずきちのアクセント講座が始まった。
日本語のアクセントには頭高型・中高型・尾高型・平板型の4種類がある。
さらに細かく分けると、まだまだ奥が深いらしい。
住民も友人も初めて聞く単語ばかりで、みんな興味津々。
「じゃあ、この言葉は何型でしょう?」
みずきちが出題すると、みんなで考えながら答えていく。
普段は何気なく話している言葉にも、ちゃんとルールがある。
そんな発見に、みんなで感心していた。
アクセントの話から、そのままボイスサンプル作りへ。
ささみとえさっしーが「ボイスサンプルを作りたい」と言い出したのだ。
まずは台詞を考えるところから始まる。
ここでも、みずきちの講座が続く。
ボイスサンプルはただ台詞を読むだけではなく、
相手がいる情景が見えること、そして感情の幅が見えることが大事だという。
友人たちにも相談しながら、2人は台詞を考えていく。
その中で、ささみがなぜか男役をやると妙にハマることが発覚。
それを見て、みずきちが一言。
「おまえはイケメンになれ。」
ラウンジに笑いが広がった。
一方、えさっしーが作ったのは
“オネエの歯医者”という不思議な設定の台詞。
簡易防音室に入り、みんなの前で収録する。
読み終わったあと、恥ずかしくなったのかえさっしーはなかなか防音室から出てこられない。
その様子もまた、みんなの笑いを誘っていた。
ボイスサンプルの台詞を読んだあと、えさっしーがぽつりと言う。
「こんな青春したかったなあ。」
そこから話題は恋愛へ。
ゲーム好きのささみとみずきちは
「それならギャルゲーやってみたら?」と提案する。
えさっしーはすぐにスマホでゲームを見つけ、ダウンロード。
みんなで見守りながらプレイしてみると——
あっという間にBAD END。
その展開に、ラウンジは大きな笑いに包まれた。
ちょうどその頃、ささみの友人が恋バナを始め、そのままみんなで恋愛トークに花を咲かせる。
誰かの挑戦を、みんなで手伝う。
その空気がラウンジに広がっていた。
初めましての友人同士でも自然と会話が生まれていく。
声を出し、言葉を考え、笑い合う。
そんな賑やかで前向きな時間が、ゆっくり流れていた。
