3月9日の物語
この日のラウンジは、遊びと物語が交差する夜だった。
最初に始まったのは、うめしゅーが持ってきた謎解き。
みんなでテーブルを囲み、1つずつ問題を解いていく。
順調に1から4まで進んだところで、思わぬ事実が発覚する。
どうやら、この謎解きは途中で携帯との連携が必要だったらしい。
説明書をよく読まずに始めていたことに気づき、りのとせいと、そして友人たちが思わず頭を抱える。
それでも諦めず、うめしゅーからヒントをもらいながら考え続ける。
少しずつ糸口が見えてきて、最後の答えにたどり着いた瞬間、ラウンジには大きな達成感が広がった。
「ああ、解けた!」
そのときの満足感と幸福感は忘れられないものになった。
謎解きの余韻のまま、今度はエチュードへ。
舞台は「深夜のコンビニ」。
りのとせいとは夜勤のアルバイト。
そして、2人は同じ女の子を好きになってしまっている。
友人たちにもお客さん役として参加してもらい、少しずつ物語が形になっていく。
話の中で、好きな子はいつもカレーを買っていく、という設定が生まれた。
その流れで、せいとが突然叫ぶ。
「カレーになりたい!!!」
あまりに真っ直ぐなその一言に、ラウンジにはやわらかな笑いが広がった。
一度シーンを終えたあと、うめしゅーからフィードバックをもらう。
それぞれの苦手なところや、新しい可能性。
それを踏まえて、もう一度同じ設定で演じてみる。
同じコンビニ、同じ恋の話のはずなのに、少しずつ違う感情や展開が生まれていく。
その場の呼吸を合わせながら物語が立ち上がる時間は、どこか不思議で、そしてとても楽しい。
最後は、うめしゅーとりのが同じ題材で演じてみる。
同じ夜。
同じコンビニ。
同じ恋。
それでも、演じる人が変わるだけで、まったく違う物語が生まれる。
それぞれの想いが重なって、一つの世界が形になっていく。
その面白さを、みんなで改めて感じた時間だった。
夜の最後は、ボードゲーム。
うめしゅーが持ってきたのは、非売品のゲーム。
カードを使って物語を作っていくものだった。
出てくる単語がどんどん予想外の方向に広がり、話は二転三転していく。
しかし最後は「呪いの神話」というキーワードが登場し、不思議なほどきれいに物語がまとまった。
その様子を見ながら、うめしゅーは少し得意げな顔でつぶやく。
「これ、稽古にも使えるな。」
この日は、演じる人も、参加する人も、見ている人も、みんなの熱が同じ場所に集まっていた。
誰かが始めたことに、誰かが乗っかり、そこからまた新しい何かが生まれていく。
ラウンジには、一緒に作品を育てていくような、あたたかな空気が流れていた。
