1月12日の物語
- 1月13日
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今日は「成人の日」。
ラウンジには、学生時代の放課後みたいな空気が戻ってきていた。
はじめましての人がいるはずなのに、名前を確かめる前に笑いが起きて、気づけば同窓会みたいに輪ができる。
あの頃みたいに、理由のない集まりがいちばん長く続く。
きっかけは、うめしゅーの「アイブロウなくした」だった。
りのとうめしゅーの友人が中心になって、メイク道具がテーブルに並び、みんなの手が迷いなく伸びる。
普段は尊敬を集めるうめしゅーが、鏡の前でおとなしくされるがまま、最後にはリボンまでつけられていた。
からかわれているのに、どこか大事にされている感じがして、なんだか可愛く見えてくる。
そのまま、謎解きとシアターゲーム。
いいと思えば残る、嫌なら去る。
たったそれだけなのに、選ぶたびに小さな本音がこぼれる。
かりんは、どんな提案にも「いいね」と乗っかって、気付くといつも最後に1人残る。
残る背中が、言葉よりずっとあたたかかった。
そして、1月から入居したなつが「成人式、やったことなくて」と言うと、成人式をテーマに即興劇が始まった。
ところが舞台はすぐ同窓会に飛び、再会した先生が生徒と結婚していて、その生徒は子連れで——話はどろどろに枝分かれして、成人の日はどこかへ行ってしまう。
それでも、みんなが笑っている。
放課後の遊びは、脱線するほど面白いって、全員が知っている。
夜の終わり、メイク道具の名残と、笑い疲れた沈黙が、テーブルに薄く残った。
外に出たらきっと、成人の日はまた“ちゃんとした日”に戻っている。
それでも、今日ここで起きた放課後だけは、しばらく胸の内であたたかく揺れている気がした。
