1月14日の物語
うめしゅーの誕生日当日。
仕事で帰りが遅い彼を驚かせようと、ラウンジを誕生日仕様に変えるための風船が増えていく。
膨らませるたび、手のひらに静電気がぱちっと残って、みんなの気持ちも少しだけ高くなる。
つばさ、たいが、いっちー、すぎと、それぞれの友人たち。
初対面同士が混ざっているのに、ぎこちなさより先に「一緒に何かする」が流れている。
飾りつけの途中、風船が転がった。
誰かが拾ってぽんと上げる。
ぽん、と返る。
いつの間にかバレーボールが始まっていて、ふわふわした軌道に合わせて、笑い声もふわっと揺れる。
風船って、勝ち負けを急がない。
だから空気まで穏やかになるのだと思う。
高く上がりすぎた風船が、天井に当たった瞬間
「パァン!」
乾いた大きな音に、全員の時間が一拍止まった。
驚いた顔のまま目が合って、次の瞬間、みんなで一斉に笑った。
割れたのに、壊れた感じがしない。
むしろ、ここにいる全員が同じ驚きを共有したことで、みんなの距離が近づいた気がした。
その勢いのまま、お祝い動画を撮ろうという話になる。
すぎとつばさがピアノとオカリナで「Happy Birthday」を演奏し、みんなで歌う。
音は完璧じゃないのに、部屋の真ん中に“待ってる人”がいることだけは完璧に伝わってくる。
たいがは「炭酸一気飲みして“うめしゅーさん誕生日おめでとう”をゲップせずに3回言う」チャレンジ。
いっちーはけん玉の「とめけん」。
ゲップや失敗のたびに、撮り直しの合図みたいに笑いが起きて、撮り直すほどに空気があたたかくなる。
最後に全員が成功したとき、拍手の音が少し長く残った。
成功より、そこまでの道のりが、もう贈りものだった。
夜の終盤、すぎは締切が今日までのラジオ音声を録ろうとする。
けれど、つばさ・たいが・いっちーの妨害が止まらない。
わざと咳払いをしたり、妙な相づちを入れたり、笑いを堪えきれずに崩れたり。
それでも嫌な感じは一切なくて、「こういうのが楽しいんだよな」が、ちゃんと全員に共有されていた。
見ていた友人たちも、声を出さずに肩を揺らしている。
友だちの友だちが、いつの間にか友だちになっていく。
寄せ書きが回り、ボードゲームが始まり、誰かの手が足りなくなれば自然に補われる。
賑やかなのに落ち着いていて、落ち着いているのにずっと笑っている。
うめしゅーが帰ってくる前のラウンジは、もう十分に“おめでとう”で満ちていた。
割れた風船の欠片さえ、今夜の余韻みたいに、床の上で小さく光っていた。
