1月17日の物語
- 1月18日
- 読了時間: 2分
土曜のラウンジは、人数が少ないぶん、声がよく届いた。
りの、あゆむ、みやび、せいとに、友人たち。
輪は大きくないのに、空気はちゃんとあたたかくて、誰かの言葉が落ちたところに、すぐ別の言葉が重なっていく。
りのが提案したのは、少し変わった自己紹介だった。
「自分のことを他の人が深掘りして、それを基に自己紹介する。
そうしたら、自分のことをもっとよく知れるかも」まず、りのが先陣を切る。
自分のことを、他人の目線で言葉にされて、照れくさそうに笑いながら、それでもまっすぐ受け取っていく。
その姿が、場の安心の合図になった。
続いて、あゆむ。
せいとと、せいとの友人と一緒に考えた自己紹介で、いきなり場を明るくしてしまう。
自分のことを語るはずなのに、なぜか周りのことまで優しく巻き込んで、みんなが「そういうところだよね」と頷く。
自己紹介が、名刺じゃなくて小さな遊びになる夜だった。
その流れで、みやびが「人間itoやらない?」と提案する。
せいとは未経験で、友人たちもみんな初めて。
手探りのまま始めたのに、テーマに合わせて“揃える”ことに夢中になっていく。
なかでも忘れられないテーマは「遊園地」。
始まった瞬間、あゆむとみやびがふたりして迷子の子になって、なぜか泣き喚きはじめる。
場の空気が一気に想像の遊園地へ飛んで、りのの友人は風船を配って回り、せいとがそれを真面目に受け取って、全員が笑いをこぼした。
上手く揃えるためのゲームなのに、揃わないところがいちばん揃っていた。
夜の終わり、自己紹介で拾った言葉と、遊園地で配られた風船の気配が、同じ部屋にふわりと残った。
人数は少なくても、一緒に楽しむ、ということだけは大きかった。
帰り際の静けさまで、なぜだかやさしくて——ラウンジは今日も、誰かの“知らなかった自分”を、そっと増やしてくれる場所だった。
