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1月20日の物語

  • 1月21日
  • 読了時間: 2分

大寒波の日。ラウンジの空気はきゅっと締まっていて、吐く息だけがやわらかく見えた。

せいと、ささみ、かりんに、それぞれの友人たち。

はじめましてが多いはずなのに、椅子の距離はいつの間にか近くて、湯気のない時間をみんなであたためているみたいだった。


話題はChatGPTのことから始まった。

「AIが優秀すぎるよね」と笑っていたのに、ふと誰かが言う。

「AIが身近になればなるほど、このシェアハウスみたいに生身の人間同士が集まって何かをする空間って貴重だよね」

その一言が、ラウンジの真ん中に静かに置かれた。

便利さの話のはずなのに、耳に残ったのは“今ここにいる”ということの手触りで、みんなの頷きがいつもよりゆっくりだった。


寒さに背中を押されて、かりんが「身体を動かそう!」と言い出す。

せいとを筆頭に“暖まろうスクワット”が始まった。

ひとりずつ大きな声でカウントして、トータル70回。

声が揃うほど、部屋の温度が上がっていく。

……はずが、なぜかかりんだけ、せいとに「まだまだぁ!」と煽られて90回。

笑いながら息を切らす姿が、寒さより先に心をあたためた。


次に始まったのは『第2回いいね大会』

このシェアハウスの魅力を伝えるために、せいととかりんの写真を撮ってもらい、各々SNSにアップする。結果、いいね数は全員同じ。

だから決着はじゃんけんになり、いちばん強かったかりんの友人が1位をさらう。

うまい棒のネックレスを授与された瞬間、場が拍手でふくらんだ。

勝ち負けより、みんなで茶化し合えることが、もう優勝だった。


そのまま近未来の話へ。

せいとの友人が海外で全自動運転の車に乗った話に、みんなの目が少しだけ遠くを見る。

さらに、名探偵コナンみたいに画面を映し出すメガネが実用化されているらしい、と聞いた瞬間、好奇心旺盛のささみがスマホで調べ始める。

「いつかイマーシブとかでも活用できたら面白そうだよね」

未来の話なのに、いま目の前の顔が一斉に明るくなる。

演劇・エンタメ好きが集まるシェアハウスらしかった。


気づけば友人同士がおすすめを交換し合って、笑いが部屋の角まで行き渡っていた。

AIの話をしたあとで、スクワットをして、じゃんけんで盛り上がって、未来を夢見て——

結局いちばん贅沢だったのは、同じ場所で同じ瞬間を共有できたことだった。

寒い夜ほど、その“当たり前”が、静かに光って見えた。

 
 

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