1月7日の物語
- 1月8日
- 読了時間: 2分
気づけばラウンジは大人数になっていた。
はるくん、つばさ、たいが、そして、それぞれの友人たち。
壊れたエアコンのことなんて、忘れるくらいの活気がラウンジに溢れていく。
つばさがふと、「金八先生に憧れて役者始めた」と話すと、ラウンジは即席の教室になる。
はるくんが不良生徒役になり、つばさが先生役。
「辛いという字に一本足すと幸せになるよ」
まっすぐ説いたのに、はるくんの“不良”にはまるで響かなくて、間の悪さが最高で、みんなの笑いがラウンジに広がる。
ひと息ついたところで、誕生日の寄せ書きアルバムがテーブルに広げられる。
うめしゅーの誕生日を祝うために、住民たちが用意したものだ。
アルバムを回しはじめると、会ったことのない人まで嬉々としてページを埋めていく。
知らないはずなのに、書けてしまうのが不思議で、でもその不思議こそが、この家のあたたかさだった。
ラウンジのすみで、はるくんがちっちゃいサングラスをかけた瞬間、変な別人格が誕生する。
「東中野のドンや」
名乗った途端に、友人のボードゲームへ乱入して負け、罰ゲームのスクワット。
勢いでミルクティーまでこぼして、みんなで拭いていたら、ドンが急に小さく言った。
「ほんまありがとな」
偉そうなのに素直で、そこがまた可笑しくて、またあたたかかった。
歌う人がいて、筋トレが始まって、ボードゲームの勝敗に拍手が起きる。好き勝手なのに、空気はちゃんと同じ方向を向いていた。
今日のラウンジは、集まった人たちの明るい笑い声が灯火になって、寒さを追い出していた。
