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2月10日の物語

  • 2月11日
  • 読了時間: 2分

夜のラウンジは、夕飯の匂いから始まった。

仕事や予定を終えた友人たちが、それぞれの晩ごはんを抱えて、少しずつ集まってくる。


なつはお弁当、みずきちはナゲットを持ち寄る。

えさっしーは人生初のバーガーキングを注文しようと、Uber Eatsを開いた。


メニューを前に悩んでいると、なつとえさっしーの友人がすかさず口を挟む。

王道からサイドメニューまで語り尽くし、「あれが美味しい」「それも外せない」と盛り上がる様子は、もはや“バーキン博士”だった。


食卓を囲むと、会話は自然にあちこちへ跳ねていく。

「そっちも美味しそう」「そのお菓子、懐かしい」「このおにぎりの味、なーんだ」

正解を当てることよりも、声が行き交うこと自体が楽しくて、気づけば実家の食卓みたいな安心感に包まれていた。


ごはんを食べ終えた頃、なつの「最近ラジオ撮れてなくてさ」という一言から、ラジオの公開収録をしようと話し出す。


なつは構成を練る放送作家、みずきちはロゴを作るデザイナー、えさっしーは笑いを差し込むシットコム担当。

友人たちは“ふつおた”係になり、ラウンジは一気に番組制作チームへと姿を変えた。


早速届いた“ふつおた”には、新入居メンバーの「これから挑戦したいこと」という質問。

ヒップホップ、タップ、アイススケート、歌。

「みんなで教え合えそうだね」と話しているうちに、予定していた10分はあっという間に20分を超えていた。


トークの途中で誰かが滑ると、謎楽器がチーンと鳴る。

一瞬の静寂のあと、誰かが耐えきれずに吹き出し、その笑いがまた次の笑いを呼ぶ。

ラウンジは、やさしい笑いで何度も満たされていった。


そんな軽やかな時間があったかと思えば、結婚の価値観の話になると、空気が少し落ち着く。

誰かが条件を口にすると、誰かが静かにうなずく。

言葉を重ねながら、それぞれの考えが、確かにそこに置かれていった。


気づくと、10分だけのつもりだったラジオ収録は、40分近くになっていた。


真剣さも、笑いも、そのどちらも含めて「ここにいる」感じがする。

穏やかで、優しくて、肩の力が抜ける夜。

誰の友人かなんて、もう関係ない。

ラウンジには今日も、ちゃんと「帰ってきた気持ち」が残っていた。

 
 

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