top of page

2月1日の物語

  • 2月2日
  • 読了時間: 2分

日曜のラウンジは、机の上からにぎやかだった。

せいと、りの、かりんと友人たち。

偶然にもボードゲーム好きが集まり、箱が次々に開かれていく。


最初に場を導いたのは、せいとの友人だった。

慣れた手つきでルールを説明し、実際にコマを動かしながら、ひとつずつ噛み砕いていく。

最初は首を傾げていた人も、「あ、そういうことか」と声を上げて、少しずつ輪に入っていく。

理解が追いついた瞬間、ゲームは一気に生き物みたいに動き出した。

役者と一緒に遊ぶ演劇的なボードゲームは没入感が高く、「これ、面白いね」という声が自然に重なっていく。

初対面のはずなのに、勝敗や役割を共有するたび、心が同じ方向を向く瞬間が何度もあった。


そのまま流れで、シアターゲームへ。

稽古で使う遊びを体験してもらうと、失敗も成功も、全部が笑いになる。後半の人間itoでは、芝居未経験の友人も思い切って参加し、「学校」「異世界の王国」という二つの場面に飛び込んだ。

周りの様子をそっと伺いながら、気づけば個性の強いキャラクターが次々と生まれていく。


ひと息ついたところで、せいとの台本づくり。

友人たちから話の欠片を集め、悩みながら言葉を紡ぐせいとの背中を、みんなが少しソワソワしながら見守る。

完成した台本を読み始めた瞬間、場に小さな達成感が広がった。

それは、即席なのに確かに「一緒に作った」と言える手応えだった。


最初は距離があった友人同士も、共通の遊びや時間を重ねるうちに、いつの間にか自然に笑い合っている。

帰るとき、住民が見送るだけでなく、友人同士も手を振り合って別れていく。

ラウンジには最後まで、やさしい空気が残っていた。

 
 

最新記事

すべて表示
5月29日の物語

雨上がりのようなやわらかい空気が、ラウンジに流れていた。 「初めましての人もいるし、もっとみんなのこと知りたいな」 りのが棚から取り出したのは、『佐藤です。好きなおにぎりの具は梅です。』というゲームだった。 お題に答え、その答えを今度はみんなで当てる。たったそれだけなのに、不思議と人柄が滲み出る。 好きなもの。苦手なもの。思いがけないこだわり。 一巡終わる頃には、「そんな一面あったんだ」と笑い声が

 
 
5月28日の物語

ラウンジに降りてきたみやびとなつとすぎちゃんは、最初に少しだけ背筋を伸ばした。 床には、たいがが置いていたチラシが散乱している。 けれど、その場には誰もいない。 普段は閉まっているラウンジのドアも少しだけ開いていた。 「……不審者?」 誰かがそう呟いた瞬間、その説が妙に有力になってしまう。 三人は護身用として、殺陣練習用の刀をそれぞれ手元に置き始めた。 友人が遊びに来る気配がすると、すぐに刀を持っ

 
 
5月26日の物語

火曜日のラウンジには、いつもの笑い声があった。 でもその奥に、少しだけ“終わり”の気配が混ざっていた。 この日、えさっしーはこのシェアハウスを旅立つ。 だからまずは、えさっしーのやりたいことを全部やろう、という話になった。 机の上には、次々とボードゲームが広がっていく。 最初に始まったのは『答えを合わせましょうゲーム』。 価値観を揃える、シンプルだけど妙に盛り上がるゲームだった。 「好きなおにぎり

 
 
bottom of page