top of page

2月22日の物語

  • 2月23日
  • 読了時間: 2分

みんなで食べる海鮮丼から、この日の物語は始まった。

なつ、みずきち、けんじ、れみー。

そこに友人たちも加わり、箸を動かしながらの談笑がゆるやかに広がっていく。


ふと、誰かが口にした。

「白餡って、何でできてるか知ってる?」

そこから原材料クイズが開幕。


なつは「ラディッシュ!」「カリフラワー!」「白ちんげん菜!」と、まるで八百屋の叩き売りのように野菜を連呼。

料理好きで、ブラウンソースを一から作るけんじですら「白菜!」「アスパラ!」と当てずっぽう。


そんな中、友人が静かに言う。

「白インゲン豆。」

一発正解。


悔しそうななつとけんじの顔が可笑しくて、笑いが広がる。


さらに「もみじおろしは?」「ホワイトソースは?」と続き、

身近な食べ物ほど、意外と知らないことに気づく。

知識が増えるたび、少しだけ世界が広がる気がする。


「野菜畑からの脱出って謎解き作って無双しようよ!」

そんな冗談まで飛び出しながら、海鮮丼はきれいに平らげられた。


食後は、れみーのタロット大会。

ちいかわのタロット本を片手に、新米占い師が奮闘する。


カードを引くたびに、

「どういうことだ!?」と本とにらめっこ。

解釈に悩みながらも、その過程がすでに楽しい。


面白かったのは、

「役者が普段演じている役がタロットの結果に出る」現象。

俳優という職業ゆえか、占いの言葉が“役”に吸い寄せられていく。


「本人を占うなら、一番リラックスしてる寝る直前じゃないと正しい結果が出ないかもね」

そんな仮説まで生まれ、笑いと納得が入り混じった。


そして、みずきちの雑誌づくり。

n'-chiの雑誌を作ろうと、パソコンでデザインを進めていく。


なつが持ち込んだカメラで、ラウンジのおすすめスポットでの写真撮影。

れみーとけんじのカット、オセロで遊ぶ瞬間の一枚。

形になっていく表紙と裏表紙に、自然と声が弾む。


みずきちのこだわりも光る。

バーコードをよく見ると「TOMODACHINCHI」。

裏表紙の企業広告は、ラウンジに積まれたブランケット。

遊び心と愛情が、細部にまで詰まっている。

完成を想像するだけで、わくわくが広がった。


勢いよく語る人。

静かに耳を傾ける人。

言葉が行き交い、知識が増え、笑いが生まれる。


大きな事件はなくても、会話だけでこんなにも満ちていく夜がある。


海鮮丼の余韻と、カードのめくれる音と、画面に浮かぶ雑誌のデザイン。


それぞれがゆるやかに重なりながら、ラウンジは今日も、やさしく賑わっていた。

 
 

最新記事

すべて表示
5月29日の物語

雨上がりのようなやわらかい空気が、ラウンジに流れていた。 「初めましての人もいるし、もっとみんなのこと知りたいな」 りのが棚から取り出したのは、『佐藤です。好きなおにぎりの具は梅です。』というゲームだった。 お題に答え、その答えを今度はみんなで当てる。たったそれだけなのに、不思議と人柄が滲み出る。 好きなもの。苦手なもの。思いがけないこだわり。 一巡終わる頃には、「そんな一面あったんだ」と笑い声が

 
 
5月28日の物語

ラウンジに降りてきたみやびとなつとすぎちゃんは、最初に少しだけ背筋を伸ばした。 床には、たいがが置いていたチラシが散乱している。 けれど、その場には誰もいない。 普段は閉まっているラウンジのドアも少しだけ開いていた。 「……不審者?」 誰かがそう呟いた瞬間、その説が妙に有力になってしまう。 三人は護身用として、殺陣練習用の刀をそれぞれ手元に置き始めた。 友人が遊びに来る気配がすると、すぐに刀を持っ

 
 
5月26日の物語

火曜日のラウンジには、いつもの笑い声があった。 でもその奥に、少しだけ“終わり”の気配が混ざっていた。 この日、えさっしーはこのシェアハウスを旅立つ。 だからまずは、えさっしーのやりたいことを全部やろう、という話になった。 机の上には、次々とボードゲームが広がっていく。 最初に始まったのは『答えを合わせましょうゲーム』。 価値観を揃える、シンプルだけど妙に盛り上がるゲームだった。 「好きなおにぎり

 
 
bottom of page