2月3日の物語
- 2月4日
- 読了時間: 2分
この日のラウンジは、扉を開けた瞬間から、季節の顔をしていた。
鬼のお面をかぶったえさっしー、りの、ささみが友人を出迎える。
少し照れた笑いがこぼれて、節分パーティーが、静かに始まった。
恵方巻きを持ち寄り、南南東を向いて、無言で食べる。
先に食べ終えた人も、言葉を飲み込んだまま、ただ見守る。
静かすぎて、どこか可笑しい。
けれど、全員が食べ終えて「ごちそうさま」を言った瞬間、空気がふっとほどけた。
季節の行事を一緒にやる。
それだけで、心の距離が少し縮む。
豆まきや節分の由来を調べて、
「また賢くなっちまったぜ」
とささみが言い、笑いが柔らかく広がった。
その流れのまま、節分をテーマに芝居をすることになる。
ChatGPTで作った三つの台本を順に演じて、なかでもささみ案のコメディがひときわ光った。
「これ、撮ってみようよ」
そんな一言で、遊びは制作に変わる。
台本を覚え、場当たりをして、リハーサルをして、本番へ。
走り回る役のりのとえさっしーは、本当に息を切らしていた。
ささみの友人のカメラワークも冴えて、節分の夜に、ひとつの小さな作品が生まれた。
夜の終わりは、ミュージックビデオの鑑賞会。
りのとささみがアイドルだった頃の映像をみんなで見て、本人たちはくすぐったそうに笑う。
懐かしさと、少しの照れと、まだ知らなかった一面に出会う楽しさが、部屋に漂った。
床に落ちた豆も、外したお面も、走り回ったあとの疲れも。
全部まとめて、この日の節分の思い出になった。
ラウンジには、季節が通り過ぎたあとに残る、やさしい余韻だけが、静かに残っていた。
