2月5日の物語
- 2月6日
- 読了時間: 2分
ラウンジは静かな立ち上がりだった。
ささみ、すぎさん、れみーと友人たち。
穏やかな空気の中で、ひとりだけ少し切羽詰まった表情をしていたのが、れみーだった。
「今日の21時までに、オーディション写真決めないといけないんだよね……」
その一言で、ラウンジはゆっくりと“相談の場”に変わっていく。
ささみが「他人からの目線も大切だよね」と声をかけると、友人たちが集まって、画面を覗き込みながら意見を出す。
角度、表情、光の入り方。
真剣だけど、どこかやさしいやり取りが続く。
客観的な意見も欲しくて、ChatGPTにも聞いてみたけれど、返ってくるのは「どちらも素敵です」「甲乙つけがたいですね」の言葉ばかり。
すぎさんの予想通り、褒められれば褒められるほど迷いは深くなる。
それでも最後には、「これでいこう」と一枚を選び切った。
決断の瞬間、れみーの表情がふっと軽くなったのを、みんながちゃんと見ていた。
ひと段落したところで、すぎさんがサウナハットを取り出す。
キャラクターコラボで、顔がすっぽり隠れてしまうほどの大きさだった。
「みんな、被っていいよ」
そう言ってピースするすぎさんを、れみーが写真に収める。
それを見て笑うささみと友人たち。
その写真をきっかけに、話題は自然とカメラへ。
写真が趣味の友人が多く、機材の話、撮り方の話、SNSの使い方の話が次々に出てくる。
そこで誰かが言った。
「シェアハウスの雑誌、作れそうじゃない?」
ChatGPTに“俳優たちが載っていそうな雑誌タイトル”を聞いて、「stagefaces」に決定。
編集長はささみ。
表紙はもちろん、さっき撮ったサウナハットで顔が隠れたすぎさんの写真。
友人が考えた見出しは「顔は武器になる」。
その勢いで、他の住民の写真も勝手に印刷して、雑誌っぽくレイアウトしてみる。
SNSでは見たことのない表情や、普段とのギャップを見つけては、また話が広がる。
次は誰を撮ろうか、どんな特集にしようか。
まだ形になっていないのに、もう楽しい。
熱を帯びたラウンジは、外の寒さとは対照的に少し暑いくらいのあたたかさ。
和やかで、平和で、話題が尽きることはなかった。
誰かの締切を、みんなで越えて。
偶然のサウナハットが、企画の種になって。
この日もまた、友だち同士の会話から、小さな“何か”が生まれていた。
ラウンジには、心地よい熱と、次に続いていく予感が、静かに残っていた。
