2月8日の物語
- 2月9日
- 読了時間: 2分
更新日:2月9日
夕方になると、ラウンジは少しずつ誕生日の輪郭を帯びはじめた。
せいと、りの、えさっしー。
そこへ友人たちが集まり、くぼりおも帰ってきて、気づけば部屋の中心に「お祝いの日」が腰を下ろしていた。
せいとはカメラを構え、昨日みやびが作った歌に合わせてバースデームービーの撮影を始める。
歌に寄り添うように、笑顔や何気ない仕草を切り取っていく。
撮っては確認しまた撮る。
その往復も含めて、この日の記録になっていく気がした。
お祝いの準備は、ドミノ作りへ。
ゴールに辿り着くと誕生日の旗が上がる、本気の仕掛けだ。
それぞれが作った道をつなぎ、一本の流れにする。
ピタゴラスイッチの音が鳴り響いた瞬間、大きな拍手がラウンジを包んだ。
成功したことより、みんなで作り上げた時間が嬉しかった。
しばらくしてピザが届き、テーブルを囲む。
りのとえさっしーが新しい歳の抱負を言い、ピザ争奪じゃんけん大会が始まる。
一段落して始まったのは、お気に入りゲームのプレゼン大会だった。
「これが面白い」「この瞬間が最高」と、それぞれが熱を込めて語るたび、場の期待も高まっていく。
そして最後に最も票を集めたのは「教祖爆誕」。
みんな「教祖爆誕」に興味津々で、教祖様になりきって、迷える子羊達のために、有難い教えを諭すゲームをはじめる。
思いのほか拮抗し、最終戦は誕生日のりのとえさっしーが勝敗のジャッジを託される。
せいとの友人が教祖になりきり、
「全ての事には意味があります」と言い始め、
もっともらしい理屈を並べたあと、
「――レンジでチンなさい」
と最後に一言放つと、場が一気に笑いに沈んだ。
こうして電子レンジ教が優勝し、勝敗以上に納得感だけが残った。
楽器の音が重なり、笑い声が行き交う。
初めましての住人も友人も、自然に同じ輪の中にいる。
この日のラウンジは、ホームパーティーみたいで、たしかに“おめでとう”が行き渡っていた。
