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3月16日の物語

3月17日
読了時間: 2分

この日のラウンジは、芝居の熱で満たされた夜だった。


はるが、突然みんなに紙を配り始める。

「好きな歌、書いて。」

その歌をもとに、演劇を作ってみようという試みだった。


それぞれが思いつく曲を書き込み、期待と少しのワクワクが広がっていく。

選ばれたのは 『IRIS OUT』。


歌詞から着想を得て、生まれたのはマフィア2人の物語。

はるとせいとが演じるその物語は、静かな熱を帯びながら進んでいく。


ラストまで演じきると、ラウンジは拍手に包まれた。


そして、うめしゅーが静かに言う。

「さあ、もう一回やってみよう。」

そこから、うめしゅーの演出が加わる。

同じ物語なのに、色合いが変わる。


呼吸や間、感情の重さ。

さっきとは違う景色が、同じ場面から立ち上がる。


熱演に次ぐ熱演。

クタクタになりながらも、はるとせいとの顔には満足感が残っていた。

その後ろで、うめしゅーの目が少し潤んでいた。


しばらくして、せいとがぽつりと言う。

「何かを掴めそうだ。」

その言葉をきっかけに、今度は1人インプロが始まる。


うめしゅーが軽くデモンストレーションを見せ、せいと、そしてはるが順番に挑戦する。


周りの人たちが次々に新しい状況を投げ込む。

その場で受け取り、物語をつないでいく。


途中、はるは赤ん坊に出会い、優しくあやしていた。

しかし、新しい状況が投げ込まれた瞬間、赤ん坊をその場に置いて、次の展開へ進んでしまう。


そのあまりの切り替えの速さに、ラウンジは大笑い。

うめしゅーはずっと

「赤ん坊が置いて行かれた…」

と嘆き続けていた。


その流れで、インプロで使った「ツッコミかるた」をやってみることに。


ここで、はるの無双が始まる。

即ツッコむ。

狙い撃ちでボケる。

またツッコむ。


気づけば、はるの手元にはツッコミカードが山のように積み上がっていた。


振り返ると、この日ははるから動き出し、はるで締まった一日だった。


先週風邪をひいたはるを心配していた住民たちや、はるの友人たちも、言葉には出さないまま、どこかで同じことを思っていた気がする。

「はるが元気になってよかった。」

そんな静かな気持ちが、ラウンジのあたたかい空気の中に、そっと残っていた。

 
 

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