3月1日の物語
3月のはじまりは、笑い声とともにやってきた。
いっちー、ささみ、さのちゃん、れみー。
そこへそれぞれの友人たちが加わり、ラウンジは自然とひとつの輪になる。
最初に広げたのは「カタカナーシ」。
カタカナ語を使わずに説明する、もどかしくて楽しいあのゲームだ。
さのちゃんがぽつりとつぶやく。
「これ、なぜか昔の人みたいになっちゃうんだよね。」
意味が分からず首を傾げていたみんなも、始めてすぐに理解することになる。
違う答えには「違わし」、惜しい答えには「惜しし」。
独特な言い回しが飛び出し、いつの間にかいっちーやれみーまで古風な口調になっていく。
言葉を縛られると、人は少し時代を遡るらしい。
いっちーは少し苦戦気味。
丁寧に説明していたはずなのに、うっかり自分で答えを言ってしまう。
その抜けた姿に、友人たちは楽しそうに笑った。
一方で、当てるのが抜群に上手な友人もいて、表現する側も巧みだった。
「初代カタカナーシクイーン(非公式)に命名しよう!」
ささみの一言に拍手が起き、場がさらに温まった。
次は、ささみが買ってきたキャラクターマスコットの開封タイム。
箱の中にはさまざまな色のキャラクターがいて、さらに2種類のシークレットカラーが存在する。
みんなで「この色じゃない?」「いや絶対こっち!」と予想し合い、ドキドキしながら開封。
現れたのは濃いピンク色。
当てた2人に拍手が送られ、ささみはその可愛さに見惚れ、れみーはすかさず写真を撮る。
「名前決めたいな。」
さのちゃんの提案は
「ジャスティン・バブリシャスキティちゃん2(ツー)」。
「略して?」とささみが振ると、
「バブリシャス!」
一周回ってその響きが愛しくなり、ささみは“バブリシャス”と呼ぶことを決める。
嬉しそうに、初めてのぬい活写真を何枚も撮っていた。
夜が更けると、ジェスチャーゲームへ。
カードゲームで盛り上がった流れのまま、いっちーが提案する。
「オリジナルのジェスチャーゲームやってみない?」
①誰が
②どこで
③何をした
それぞれをバラバラに書き、組み合わせる。
さのちゃんのお題は
「②横断歩道の真ん中で①セレブが③雨乞いをしていたらMPがなくなった」。
難しすぎる③を書いたいっちーを笑いながら非難するさのちゃん。
でも顔は楽しそうだ。
続いてれみーとささみ。
「①車の教習所の教官が②鳥取砂丘を目指していたらいつのまにか辿り着いた公園の砂場で③片方を人造人間に改造した」。
またしても難題を仕込んだいっちーに、みんなで大笑い。
最後はいっちー自身の番。
「①関ヶ原の合戦の場で②たくさんのプレーリードッグが(前世として)③特別好きでもないゲームのデータが奇しくも消えてしまった」。
もはや物語。
プレーリードッグの解像度だけ妙に高く、そこがかわいいと盛り上がる。
難題は巡るものだと、「明日は我が身」を身をもって学んだ。
全員で同じゲームをして笑う時間もあれば、「これやってみる?」と気になるものを持ち寄る時間もある。
マイペースなのに、空気はひとつ。
3月のはじまりは、やわらかくて、あたたかい1日だった。
