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3月24日の物語

  • 3月24日
  • 読了時間: 2分

この日のラウンジは、光の当たり方ひとつで、いつもの景色が少しだけ変わって見えるような時間だった。


なつの「宣材写真を撮らなきゃいけない」という一言から、その場は自然と撮影会へと変わっていく。

照明を調整し、立ち位置を探り、カメラを構えた友人の視線が空間を整えていく。


さっきまでラウンジだった場所が、気づけば簡易のスタジオのようになっていた。


真面目にポーズを取る瞬間もあれば、りの、えさっしー、なつの3人が崩れて笑う瞬間もある。

そのどちらも、シャッターの中に収められていく。


「かわいい!」「かっこいい!」

周りから飛ぶ言葉が、被写体の背中を少しずつ押していく。

急にカメラを任されたえさっしーの友人も、迷いなく設定を整え、次々と撮っていく。

その手際の良さに、自然と信頼が生まれる。


撮影が終わるころには、場は拍手に包まれていた。

写真だけでなく、その時間そのものが、ひとつの作品のようだった。


その余韻のまま、今度は「ひらがじゃん」。

ひらがなで単語を作る、シンプルなようで難しいゲーム。


みんなが静かに考え込む中、ふと、なつがこぼす。

「あと一文字で、ポテナゲができる!」

その一言で、張りつめていた空気がほどける。


えさっしーの友人は、 「ひじき」「ぽんず」と、なぜか食べ物ばかりを揃えていく。

並ぶ言葉の偏りに、その人らしさがにじむ。

語彙を探すはずのゲームなのに、気づけば人となりを知っていく時間になっていた。


夜が深まるにつれて、人も増えていく。

役者も多く集まり、 「コミュニケーション能力を上げよう」という流れから、ゲーム「そういうお前はどうなんだ」が始まる。


それぞれ役を背負い、言葉を交わしながら疑い合っていく。

なつは、ことあるごとに 「祟りだ、祟りだ」と繰り返し、場を揺らす。

えさっしーは警察官でありながら、呪いのお札や、髪が伸びる人形を持ち歩くという、どこか矛盾した存在になっていた。


やがて、ダム建設反対の流れが生まれ、ひとつの方向にまとまりかけたその時。


真の犯人は、その中に紛れていた“もうひとりの反対者”だったと明かされる。


思いもよらない結末に、ラウンジは驚きと笑いに包まれる。


明るさが途切れないまま、一日が過ぎていく。

誰かの声に誰かが笑い、その笑いがまた別の人へと広がっていく。

この日のラウンジには、ずっと同じ温度のあたたかさが、静かに灯り続けていた。

 
 

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