3月28日の物語
- 3月28日
- 読了時間: 2分
夜のラウンジには、いくつもの物語が静かに重なっていた。
最初に広がったのは、マーダーミステリー。
幽霊が出ると噂される時計台で起きた、ひとつの事件。
それぞれが役を背負い、真実と嘘のあいだを行き来しながら言葉を交わしていく。
せいとは犯人。
けれど、その正体は思い込んでいたものとは違っていた。
りのは、ただの参加者のようでいて、実は幽霊という存在を抱えている。
さのちゃんは、軽やかに場を揺らし続け、その揺らぎが、会話をさらに面白くしていく。
少しずつ明らかになる事実。
重なっていく違和感。
そして迎えたエンディングでは、驚きが連なり、そのたびに笑いがこぼれた。
物語の中にいたはずなのに、気づけばその外で笑っている。
そんな、不思議な余韻が残った。
その流れのまま、今度は映画の話へ。
思い出の作品や、最近観たもの、好きなシーンや心に残った言葉を、ゆっくりと持ち寄る。
「プラダを着た悪魔」や「少林サッカー」の名前が挙がり、それぞれの記憶が重なっていく。
「名シーンって、良すぎてネタにされるよね」
その言葉に頷きながら、ふと、誰かが言う。
「そういうシーンを残せる俳優になりたいね」
俳優としての夢の話が静かに重なっていった。
語ることで、作品はもう一度生き直し、その中に、自分たちの未来も少しだけ重なっていく。
そして最後に始まったのは、初めてのTRPG。
友人に導かれながら、言葉と想像でひとつの物語を編んでいく。
やがて、かりんとせいとが最後の場面に立ち、物語は静かに終わりへと向かう。
きれいに閉じたその結末に、誰かが小さく息を吐く。
終わったあとも、しばらく余韻が残っていた。
ひとつの物語が終わるたび、また別の物語が始まる。
その繰り返しの中で、同じ時間を過ごしていることが、少しだけ特別に思えた。
この日のラウンジには、物語と、夢と、その続きを信じる気持ちが、やさしく残っていた。
