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3月30日の物語

3月31日
読了時間: 2分

この日のラウンジには、言葉と、その少し先にある何かを掴もうとする時間が流れていた。


最初に始まったのは、あいうえおエチュード。


セリフの頭を、必ず「あ」から「ん」までの音でつないでいく。

ただそれだけの制約なのに、思った以上に難しい。


はるくんとかりんは、言葉を探すたびに少し立ち止まり、頭の中で何かを組み替えているのが見える。


一方で、うめしゅーに鍛えられてきた友人たちは、迷いなく言葉を差し出していく。


「リセットボタンが…!」

「何か手がかりがないか探してみましょう!」


物語が、少しずつ形を持ちはじめる。


それを見て、うめしゅーがぽつりとこぼす。

「みんな、成長してるな」

その言葉は、どこか嬉しそうで、そして少し誇らし気だった。


続いて始まったのは、不謹慎王決定戦。


お題に対して、あえて不謹慎な回答を考えて、その絶妙なラインで笑いを取れるかを競う遊び。


攻めすぎてもいけない、けれど引きすぎても届かない。


そのぎりぎりを見極める中で、うめしゅーの言葉は迷いなく場を射抜いていく。

笑いと驚きが重なり、そのまま優勝が決まった。


少し張りつめた空気をほどくように始まったのが「レロレロ酒場」。


「ら・り・る・れ・ろ」だけで居酒屋のメニューを読み上げ、読み上げられたメニューを当てた人がカードを手に入れる。

そして、カードに書かれた金額の合計で勝敗が決まる。


シンプルなのに、音だけを頼りに想像するその時間が、妙に楽しい。


読み上げられる曖昧な音に、それぞれが頭の中で料理を思い浮かべる。


一瞬のひらめきでカードが取られていくたび、場の空気が軽やかに跳ねる。


かりんは「時価」を2枚取り、悔しさをにじませる。


はるくんはカードを取るたびに、少し大げさに声を上げる。

「はい〜!しめ鯖ぁ!」

その声に、また笑いが重なる。


結果は、はるくんの勝利。

「今日ははるくんの奢りということで」


冗談のようなその一言に、「ごちそうさまです」と声が続く。


まるで本当に、どこかの店を出たあとのような、少し満たされた空気が残る。


言葉に縛られ、

言葉で遊び、

言葉で笑い合う。

その一つひとつが、同じ場所でゆるやかにつながっていた。


この日のラウンジには、競い合ったあとのやさしさと、誰かと一緒にいることのあたたかさが、静かに残っていた。

 
 

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