3月5日の物語
- 6 日前
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この日のラウンジは、歌声と推理が交互に響く夜だった。
れみー、みずきち、はるきが集まり、そこへ友人たちも加わる。
静かな始まりだったが、やがて声と笑いがゆっくり広がっていった。
きっかけは、みずきちの一言。
「今度、歌の収録があるんだよね。ちょっと練習付き合ってほしい。」
そう言って、れみーとはるきに歌を教えてもらうことになった。
収録する曲は音程の高低差が大きいJ-POP。そこで練習曲として選ばれたのは『小さな恋の歌』だった。
まずは何も意識せずに一度歌ってみる。
そのあと、れみーが高音を綺麗に出すコツを教えてくれた。
「大きなカブを抜くみたいに腕をぐーっと引っ張って、そこから力を緩める感じ。」
少し不思議な説明だけれど、やってみると確かに声が伸びる。
友人たちもカブを引き抜くイメージで腕を動かしながら歌い始め、ラウンジには甘酸っぱい歌詞が響いた。
さらに、鼻に響かせるように声を出す練習もしてみる。
れみーは綺麗な音を出すのに対し、みずきちはどこか様子が違う。
研ナオコのような…
はながっぱのキャラクターのような…。
思わぬ声に、ラウンジは笑いに包まれた。
全力でやって、全力で外す。
それもまた、ちゃんと前に進むための時間だった。
歌の時間のあと、今度はボードゲームへ。
イマーシブやマーダーミステリーが好きな友人が、棚を見ながら
「おすすめのゲームある?」と興味津々。
れみーが手に取ったのは『そう言うお前はどうなんだ』という推理ゲーム。
みずきちとはるきも遊んだことがあり、みんなでテーマを選ぶことになった。
ルール説明を担当したはるきの声に、友人がぽつり。
「いい声〜。」
聞き取りやすい説明のおかげで、初めての人もすぐにゲームに入り込んでいく。
物語が進み、事件は終盤へ。
ヒステリックな女性歌手を演じていたはるきに、決定的な証拠が出てくる。
しかし演技力でうまく切り抜ける。
投票の結果、犯人として逮捕されたのは、
異国の令嬢を演じていた友人だった。
ところがエンディングカードをめくると、そこに書かれていたのは衝撃の事実。
真犯人は、はるき。
狂人役だった異国の令嬢を、誤って逮捕してしまったのだ。
怪しい2人がどちらも物語の鍵を握っていたことで、場は大きく盛り上がる。
友人は「これ他の友達ともやりたいから買ってみる!」と笑いながら言った。
この日は、初めて来た人も、何度も遊びに来ている人も、いろんな人が集まっていた。
歌を練習する時間もあれば、ゲームに夢中になる時間もある。
それぞれ違うきっかけで集まっても、
気づけば同じ笑いの中にいる。
ラウンジは、この日もやわらかく賑わっていた。
