4月10日の物語
- 4月11日
- 読了時間: 2分
金曜日のラウンジは、少しだけ新しい風を含んでいた。
はるが、珍しく週末にラウンジにいた。
はるの提案で、「あいうえおエチュード」が始まる。
月曜日に教わったばかりのルール。
セリフの頭文字を「あ」〜「わ」でつないで1つの演劇を完成させる。
なつはまだ掴みきれず、言葉を探して立ち止まる。
その隣で、たいがとはるは、「あ」から「わ」まで、滑らかに物語を繋いでいく。
その流れを見て、なつも少しずつ理解していく。
やがて、自分の番。
友人たちを前に、言葉を紡ぎながら、最後まで辿り着く。
ぎこちなさの奥に、確かな手応えが残っていた。
その勢いのまま始まったのは、新しく加わったボードゲーム「サンレンタンゲーム」。
誰かの“好きなものの順番”を当てる。
シンプルなはずなのに、価値観がぶつかり合うたびに、予想は揺らぐ。
「一番焼くならマシュマロでしょ!」
「いや、プロジェクターは魅力あるって!」
気づけば、人生ゲームのお金を使った賭けが始まり、実況までついて、場はちょっとしたレースのようになる。
結果は、友人たちの勝利。
なつ、たいが、はるの手元には、何も残らなかった。
それでも、不思議と悔しさよりも、笑いの方が大きかった。
最後に始まったのは、「答えを合わせましょうゲーム」。
けれど、そこに“ズラす役”が紛れ込む。
最初は全く揃わず、途中で相談の時間が設けられる。
今度は揃いすぎて、犯人が勝てなくなる。
うまくいかないバランスさえも、また次の笑いに変わっていく。
「祭りの屋台で買うものといえば?」
その問いに、たいがとはるは「たこ焼き」で揃う。
けれど、周りからは大きなブーイング。
納得いかない表情のふたりと、それを面白がる周りの声。
正解なんてひとつじゃないことを、みんながわかっているからこそのやり取りだった。
新しい人が加わり、新しい遊びが生まれていく。
その中で、少しずつ距離が縮まり、同じ場所にいる感覚が育っていく。
この日のラウンジには、始まりの軽やかさと、その場で繋がっていく確かな時間が、静かに流れていた。
