4月11日の物語
- 4月12日
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この日のラウンジには、どこか軽やかな音が漂っていた。
始まりは、いっちーの何気ない一言。
「最近ちょっと太ってきたかも」
その言葉を拾ったみやびとせいとが、「幸せなら手を叩こう」の曲に合わせて体を動かすゲームを始める。
歌はあんなにやさしいのに、動きは容赦なく体に響く。
笑いながら始まったはずなのに、気づけばいっちーは息を切らし、しばらく言葉も出ないまま座り込んでいた。
その姿を見て、また笑いが広がる。
次に始まったのは、ハモリ我慢ゲーム。
ハモリにつられずに主旋律を歌いきるというルール。
3チームに分かれて対戦するも、最初に果敢にいどんだいっちーは、あっさりとハモリに引き込まれ、その素直さにみんなが笑う。
次はせいと。
ハモリを受け取りながらも、自分の声をまっすぐに保ち続ける。
歌い終えたあとの盛り上がりと拍手が、その時間の濃さを物語っていた。
最後のなつは、迷いながらも前に進む声に、どこか人らしい温度があった。
住民も友人も、ラウンジにいる全員が一体となった楽しい時間だった。
その流れのまま、音は楽器へと移っていく。
なつの「ギター弾けるのはやっぱカッコいい」という一言を聞いたみやびが、ワンツーマンレッスンを始める。
指の置き方、音の鳴らし方。
ひとつひとつを確かめるように、ゆっくりと形になっていく。
ぎこちなかった音が、やがてひとつの曲の輪郭を帯び始める。
「あいのしるし」、そして「Marry You」。
完全じゃなくても、確かに“弾けている”感覚があった。
見守る視線は、どれもやさしくて、その場にいること自体が、少し誇らしくなるような時間。
弾き終えたあと、なつが言う。
「ともだちんちのギタリストって呼んでいいよ」
冗談のようでいて、どこか本気の響きを持った言葉。
上手いとか下手とかじゃなくて、その場で音を出したこと。
それを一緒に受け取ったこと。
そのすべてが、もう十分だったから。
この日のラウンジには、笑いの合間にこぼれる息や、少しずつ重なっていく音が、やわらかく残っていた。
