4月12日の物語
その日のラウンジには、どこか“疑うこと”を楽しむ空気があった。
始まったのは、ダイイングメッセージのゲーム。
誰かが倒れ、最後に残す言葉が、真実へと繋がる。
けれどこのゲームでは、犯人もまた、嘘の手がかりを忍ばせることができる。
本当と偽物が混ざり合い、言葉ひとつで景色が変わっていく。
親しい相手には、その人にしかわからないヒント。
初めて会う相手には、服や持ち物から探る輪郭。
どんな言葉を残すかで、その人との距離さえ浮かび上がってくるようだった。
何度も繰り返すうちに、場の空気はどんどんほぐれていく。
そして、なぜかたいがだけが、何度も“犯人”を引き当てる。
五回連続。
疑う前に、もう笑ってしまう。
やっと違う役になれたと思った瞬間、今度は真っ先に疑われて倒される。
「やっと普通にできると思ったのに!」
その言葉すら、どこか楽しげで、ラウンジにやさしい笑いが広がった。
ひとしきり遊んだあと、いっちーが見つけたひとつのゲーム。
何気なく開いたそれは、レーザー銃で遊ぶシューティングゲーム。
光の軌跡を追いながら、たいがとせいとが夢中になる。
流れ出したのは「GET WILD」。
音と動きが重なり、どこか懐かしくて、少しだけ大げさな空気になる。
その様子を見ていた友人たちは、「男の子だなぁ〜」と、やわらかな視線を向けていた。
やがて、なつも加わる。
四人で並び、同じ方向を見つめながら、少しずつ上達していく。
さっきまで笑っていたはずなのに、今度は少し真剣な顔になる。
遊びの中で、ほんの少しだけかっこよく見える瞬間。
それを、誰も言葉にせずに受け取っていた。
この日のラウンジは、知っている人同士の安心と、
そこに混ざる新しい関係が、自然に溶け合っていた。
疑い、笑い、夢中になる。
そのすべてが、ゆっくりと同じ時間に重なって、穏やかな一日として残っていった。
