4月13日の物語
- 4月14日
- 読了時間: 2分
ラウンジには、その日も自然と“芝居”が滲んでいた。
きっかけは、うめしゅーの何気ない報告。
「今日、めちゃくちゃ噛んできたんだよね」
そこから始まったのは、言いにくいセリフ大会。
「冠動脈バイパス手術を開始します。メス」
何度やっても引っかかっていたりのが、本番になるとすっと言い切る。
その一瞬の変化に、場の空気が少しだけ引き締まる。
「医療ドラマやりたいな」
その言葉をきっかけに、うめしゅーとせいとの熱が一気に高まる。
止まらない『TOKYO MER』の話。
作品の魅力、シーンの熱量、語るほどに、まだ見ていない誰かの中にも、ぼんやりとした映像が浮かび始める。
「次、みんなで観に行こうか」
そんな未来の約束が、自然とそこに置かれていた。
続いて始まったのは、3分インプロ。
短い時間の中で、関係性と物語を立ち上げる。
せいととりのは、手探りのまま進みながら、なんとかひとつの形に辿り着く。
けれど最後、少しだけ掴みきれなかった余韻が残る。
その悔しさも含めて、次に繋がっていく感覚があった。
うめしゅーの言葉と、せいと自身の気づきが重なり、少しだけ輪郭がはっきりしていく。
3人でのインプロでは、さらに広がりが生まれる。
終わったあとにこぼれた、「難しいけど面白い」という言葉が、その時間のすべてを表していた。
やがて、不意に訪れたひとつの出来事。
電話を終えて戻ってきたうめしゅーの、どこかいつもと違う空気。
冗談なのか、本当なのか。誰も判断できないまま、静かな“間”が生まれる。
その空気ごと、遊びにしてしまおうと始まった
「きまずいまーしぶ」。
気まずさをそのまま再現し、そこからインプロへと滑り込んでいく。
誰も強く動かないまま、言葉を探し続ける時間。
それが芝居なのか、ただの会話なのか。
境界は、ゆっくりと曖昧になっていく。
気づけば、日常のすぐ隣にあったはずの芝居が、静かに重なり始めていた。
この日のラウンジは、特別なことをしているようで、とても当たり前のことをしているようでもあった。
誰かの一言から始まり、少しずつ形を変えながら続いていく時間。
その中で、それぞれが新しい何かに気づいていく。
人は多くなくても、そこにある熱は、確かにあたたかかった。
