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4月16日の物語

  • 4月17日
  • 読了時間: 2分

更新日:4月18日

ラウンジには、いくつかの会話が同時に流れていた。

けれどその中で、音の話だけが、少しずつ人を集めていく。


「何か楽器できるようになりたいよね」


すぎさんの一言から、流れが生まれた。


みやびはギターを手に取り、はるきは歌う準備をする。

そしてすぎさんは、ラウンジにあったカホンの前に座った。


本当は、簡単なレッスン動画から始めるつもりだった。

けれど、はるきが言う。


「曲聴いて真似すれば、いけそうじゃない?」


少しの不安を抱えたまま、そのまま音を重ねてみることになる。

選んだのは、あの“深海”の曲。


ギターが鳴り、歌が乗り、遅れてカホンが追いかける。

ぎこちなさの中で、不思議とリズムが噛み合っていく。


最後までたどり着いたとき、誰かが小さく「おぉ」と声を漏らした。

その一音が、ちゃんと揃っていたことを、みんなが同時に感じていた。


次には、はるきの好きなラテン系の曲。

今度は、うまくいかない。

同じように真似しているはずなのに、どこかがずれていく。

リズムの奥行きに、追いつけない。


少し笑いながら、でも確かに感じる。

「基礎って大事だね」

楽しさの中に、次に進むための輪郭が浮かび上がっていた。


その流れのまま、「せっかくだし、歌残さない?」と誰かが言う。


三人で、アカペラに挑戦することになった。

すぎさんが見ていた動画を手がかりに、自然と役割が決まっていく。

選んだ曲は「サウダージ」。


何度か合わせて、自撮り棒を伸ばして、録る。


歌い終わったあと、ラウンジのあちこちから拍手が起きる。


「結構いいんじゃない?」

その言葉に、少しだけ空気が弾む。

その横で、はるきはすぐに編集を始めていた。


さっきまで歌っていた人とは思えないくらい、静かに画面と向き合っている。

音はまだ、どこかに残っているのに。


ラウンジでは、グループ毎にそれぞれが違う話をしているはずなのに、気づけば同じ場所で笑っている。


音に引き寄せられて、またそれぞれの時間へと戻っていく。

その繰り返しが、この場所らしい流れになっていた。

 
 

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