4月17日の物語
- 4月18日
- 読了時間: 2分
その日のラウンジは、穏やかに始まったはずだった。
なつの、何気ない一言。
テーマパークやディズニーの話。
そこから自然と、「好きなキャラクターってさ」という流れになる。
誰が好きか、どこがいいのか。ひとりが話し出すと、もうひとりが重ねる。
熱は、ゆっくりと上がっていった。
その途中で、ふいに差し込まれた問い。
「バーバパパってさ——」
気づけばバーバパパクイズが始まる。
正解を当てるだけじゃない。
どんな問題を出すか、そのセンスも試される。
ラウンジの空気が、少しだけ変わる。
考える顔、笑う声、「それズルくない?」なんて言葉も混ざる。
そのまま、第1回クイズ大会が始まった。
一方で、せいとはパソコンに向かっていた。
4月の誕生日会の動画。
素材の多さに少し気圧されながらも、ひとつずつ確認していく。
ふいに、笑いがこぼれる。
「どうしたの?」
なつの問いに、せいとは答える。
「想像以上に面白くてさ…全部使えないのが悔しい」
その言葉に、はるとなつも少し身を乗り出す。
まだ見ていないのに、その“面白さ”だけが先に共有されていく。
完成を心待ちにする住民たちが増えていった。
やがて、クイズ大会は佳境へ。
はる11ポイント、友人10ポイント、せいと8ポイント、なつ4ポイント。
差が開いたところで、とんでもない問題が投げられる。
「はるのお父さんの名前は?」
得点は10ポイント。
「はるお!」「かずお!」
声が上がる。
でも、当たらない。
空気だけが盛り上がって、正解はどこにも届かないまま流れていく。
最後は、なつが出題者になる。
「サイコロの目を当てて」
完全に運だけの問題。
それでも、みんな真剣だった。
何度かのニアミスのあと、最後に一番近い数字を当てたのは、せいとだった。
静かに積み上げてきた点数が、最後にちゃんと届く。
拍手が起きる。
なつには、少しやさしい視線が向けられる。
その温度も、悪くなかった。
大きな出来事があったわけじゃない。
でも、誰かの一言から始まって、気づけばみんなが同じ方向を向いている。
そんな時間が続いていた。
のんびりしていて、でもちゃんと楽しい。
そのくらいの一日が、ちょうどよく、そこにあった。
