4月17日の物語
その日のラウンジは、穏やかに始まったはずだった。
なつの、何気ない一言。
テーマパークやディズニーの話。
そこから自然と、「好きなキャラクターってさ」という流れになる。
誰が好きか、どこがいいのか。ひとりが話し出すと、もうひとりが重ねる。
熱は、ゆっくりと上がっていった。
その途中で、ふいに差し込まれた問い。
「バーバパパってさ——」
気づけばバーバパパクイズが始まる。
正解を当てるだけじゃない。
どんな問題を出すか、そのセンスも試される。
ラウンジの空気が、少しだけ変わる。
考える顔、笑う声、「それズルくない?」なんて言葉も混ざる。
そのまま、第1回クイズ大会が始まった。
一方で、せいとはパソコンに向かっていた。
4月の誕生日会の動画。
素材の多さに少し気圧されながらも、ひとつずつ確認していく。
ふいに、笑いがこぼれる。
「どうしたの?」
なつの問いに、せいとは答える。
「想像以上に面白くてさ…全部使えないのが悔しい」
その言葉に、はるとなつも少し身を乗り出す。
まだ見ていないのに、その“面白さ”だけが先に共有されていく。
完成を心待ちにする住民たちが増えていった。
やがて、クイズ大会は佳境へ。
はる11ポイント、友人10ポイント、せいと8ポイント、なつ4ポイント。
差が開いたところで、とんでもない問題が投げられる。
「はるのお父さんの名前は?」
得点は10ポイント。
「はるお!」「かずお!」
声が上がる。
でも、当たらない。
空気だけが盛り上がって、正解はどこにも届かないまま流れていく。
最後は、なつが出題者になる。
「サイコロの目を当てて」
完全に運だけの問題。
それでも、みんな真剣だった。
何度かのニアミスのあと、最後に一番近い数字を当てたのは、せいとだった。
静かに積み上げてきた点数が、最後にちゃんと届く。
拍手が起きる。
なつには、少しやさしい視線が向けられる。
その温度も、悪くなかった。
大きな出来事があったわけじゃない。
でも、誰かの一言から始まって、気づけばみんなが同じ方向を向いている。
そんな時間が続いていた。
のんびりしていて、でもちゃんと楽しい。
そのくらいの一日が、ちょうどよく、そこにあった。
