4月19日の物語
- 4月20日
- 読了時間: 2分
ラウンジに、静かな集中が流れていた。
紙とペンを前にして、それぞれが“まだ存在しないもの”を描いている。
最初のお題は、「一番売れそうな架空キャラ」。
友人が描いたのは、
「鹿児島の球団キャラ鹿児島スイーツポテツ」、
「自称キャラ人気NO.1のMr.ニセムーン」、
「いろいろと闇深いどちくしょうほしじまさん」、
「酒好きビールっ腹猫のにゃみ〜」、
「ドーナツ好きのドナッカワラビー」。
名前だけでもう賑やかで、そこに色や表情が加わる。
1時間以上かけて描かれたそれぞれのキャラクターは、どれも妙に愛着が湧く仕上がりになっていた。
描いている間は静かでも、ふと顔を上げると、誰かが少し笑っている。
次に広がったのは、りのの“理想”の推しメン。
「こんな人がいい」
その言葉をもとに、かりんが「さかきこうたろう」を、なつが「しみずしゅんた」を描き上げる。
紙の上に現れた人物に、りのは素直に嬉しそうな顔をしていた。
そのまま自然と、話が続く。
付き合う前の帰り道、上着を貸してくれる人。
クリスマスは仕事でも、別日にちゃんと約束をしてくれる人。
少しずつ重ねられていく理想。
けれど最後に、誰かがぽつりと言う。
「……そんな人、なかなかいないよね」
笑いながら、少しだけ現実に戻る。
それでも、その時間は悪くなかった。
さらに始まったのは、「架空のアニメポスター作成選手権」。
かりんは、まるで実在する作品のような一枚を描き上げる。
なつは『ピース&ギョマ』という、どこか愛らしいキャラクターを生み出し、
りのは『ぽてぽて。』という、子供向け映画のようなやさしい世界を広げる。
いっちーは、気づけばどこか既視感のあるキャラクターを描いていて、「あれ…?鳥〇明先生…?」と周りがざわつく。
それもまた、笑いになる。
描いている間は、それぞれの時間。
でも、描き終えたあとには、自然と輪ができる。
「いいね」「かわいい」「それ好き」
言葉が行き交い、誰かの描いたものを、みんなで受け取っていく。
静けさと賑やかさが、ゆるやかに行き来する。
この日のラウンジには、形のないものを形にする楽しさが、そっと広がっていた。
