4月1日の物語
この日のラウンジは、現実と物語の間みたいな時間だった。
たいがが、「3分に1回、一発ギャグを言わないと死に至る病」にかかったのだ。
冗談のようでいて、なぜかその場の全員が、その設定を受け入れていた。
まさきが時間を気にして、時間になるとたいがはギャグを放ち続ける。
笑いが起きることもあれば、静かな空白が生まれることもある。
それでも止まらない。
その流れのまま始まったのは、ツッコミカルタ。
たいがのギャグに対して、
「初心者かよ!」
「病院行け!」
次々とツッコミが重なり、
ひとつのリズムが生まれていく。
勝敗が決まる頃には、言葉を返すこと自体が、もう楽しくなっていた。
そうして、身を削ってギャグを続けたたいがだったが、病は治らず、とうとう事切れてしまう。
彼が残したギャグ
「よーい、どん兵衛」
その言葉は、特別に受けたわけではないのに、なぜか強く残った。
つばさとまさきが瀕死のたいがをなんとか蘇生に成功すると、最後にやったのは、告白のエチュード。
学校という設定の中で、つばさをめぐる、少し歪な三角関係。
呼び出された側のつばさと、なぜか教師として現れるまさき、そして想いを伝える女子学生のたいが。
言葉が行き交うたびに、関係が少しずつ傾いていく。
気づけば流れはまさきに傾く。
まさきは、秋葉原でのコスプレデートにつばさを誘う。
一瞬の間のあと、つばさがそれを受け入れる。
その選択に、場が少しだけざわめいた。
ひとつひとつは、どこか馬鹿げているのに、
そのすべてが、なぜか自然に繋がっていく。
最初から最後まで、何かが起こり続けていた一日。
誰かが動けば、誰かが返し、そのやり取りがまた次の何かを生む。
この日のラウンジには、現実と遊びの境目が曖昧なまま、笑いだけが確かに残っていた。
