4月1日の物語
- 4月2日
- 読了時間: 2分
この日のラウンジは、現実と物語の間みたいな時間だった。
たいがが、「3分に1回、一発ギャグを言わないと死に至る病」にかかったのだ。
冗談のようでいて、なぜかその場の全員が、その設定を受け入れていた。
まさきが時間を気にして、時間になるとたいがはギャグを放ち続ける。
笑いが起きることもあれば、静かな空白が生まれることもある。
それでも止まらない。
その流れのまま始まったのは、ツッコミカルタ。
たいがのギャグに対して、
「初心者かよ!」
「病院行け!」
次々とツッコミが重なり、
ひとつのリズムが生まれていく。
勝敗が決まる頃には、言葉を返すこと自体が、もう楽しくなっていた。
そうして、身を削ってギャグを続けたたいがだったが、病は治らず、とうとう事切れてしまう。
彼が残したギャグ
「よーい、どん兵衛」
その言葉は、特別に受けたわけではないのに、なぜか強く残った。
つばさとまさきが瀕死のたいがをなんとか蘇生に成功すると、最後にやったのは、告白のエチュード。
学校という設定の中で、つばさをめぐる、少し歪な三角関係。
呼び出された側のつばさと、なぜか教師として現れるまさき、そして想いを伝える女子学生のたいが。
言葉が行き交うたびに、関係が少しずつ傾いていく。
気づけば流れはまさきに傾く。
まさきは、秋葉原でのコスプレデートにつばさを誘う。
一瞬の間のあと、つばさがそれを受け入れる。
その選択に、場が少しだけざわめいた。
ひとつひとつは、どこか馬鹿げているのに、
そのすべてが、なぜか自然に繋がっていく。
最初から最後まで、何かが起こり続けていた一日。
誰かが動けば、誰かが返し、そのやり取りがまた次の何かを生む。
この日のラウンジには、現実と遊びの境目が曖昧なまま、笑いだけが確かに残っていた。
