4月20日の物語
その日は、静かな相談から始まった。
いっちーがぽつりと、「セリフを早く覚えたい」とこぼす。
その言葉を受けて、うめしゅーがすぐに動く。
台本を開き、まずは通して読んでみる。
声に出してみることで見えてくること、覚え方の工夫、そして、どこに意識を置くのか。
うめしゅーは、自分のやり方を惜しみなく伝えていく。
その途中で、ふと昔の話になる。
役者を始めたばかりの頃のこと。
今の姿からは想像できないような一面に、思わず笑いがこぼれる。
けれど、その話の奥には、同じように悩んでいた時間が確かにあって、それが少しだけ、距離を近くする。
言葉を覚えること。それ以上に、向き合い方を知る時間だった。
やがて、流れはゆるやかに変わっていく。
「いろんなボードゲーム、やってみたい」
そんな一言から、次々とゲームが広がっていった。
ひとつひとつは短い時間でも、そこにはそれぞれ違う面白さがある。
特に多かったのは、価値観を言葉にするようなもの。
同じお題でも、選ぶものや理由が少しずつ違う。
「へえ、そうなんだ」
そんなやり取りが重なって、自然と輪ができていく。
最初は落ち着いていた空気が、気づけば少しずつ賑やかに変わっていた。
時間の終わりが近づいた頃、一つのゲームに目が止まる。
カルタのようで、お題がまるで早口言葉のようになっているもの。
うめしゅーが興味を示す。
けれど、手に取る前に時間が来てしまう。
「また来週やろう」
その言葉が、自然と交わされる。
今日の続きが、もう少し先にあるような感覚。
静かに始まって、気づけば同じ場所に集まって、
また少し先を約束して終わる。
そんな一日だった。
