4月21日の物語
- 4月22日
- 読了時間: 2分
その日のラウンジは、穏やかな空気の中で、言葉が少しだけ遠回りしていた。
最初に広げられたのは、「エイゴダーケ」。
英語だけで日本語のお題を伝えるゲーム。
さのちゃんの出題に対して、回答側のなつは、始まるや否や勢いよく言葉を放つ。
「ケバブ!オムライス!」
間髪入れずに、さのちゃんの強めの「NO!」。
よく聞けば、お題は食べ物ではなかった。
そこからは、手探りの時間になる。
言いたいことはあるのに、英語が出てこない。
「like a〜」「near」
知っている単語をなんとかつなぎ合わせて、
少しでも近づこうとする。
伝わりきらないもどかしさと、それでも伝えようとする必死さ。
気づけば、その不完全さごと楽しんでいた。
次に、なつが取り出したかるた。
「これ、やりたい」
“アレの名前しってる?かるた”という、普段見ているのに名前を知らないものたち。
バランやクルトン。
聞いたことはあるけれど、確信は持てない。
その中で、みずきちは迷いなく札を取っていく。
さのちゃんも、どこかコアな知識で食らいつく。
「ランドルト環なんで知ってんの!?」
思わず飛び出した声に、場の空気が一段明るくなる。
結果は、16枚を取ったみずきちの圧勝。
知識と反応の速さに、自然と拍手が集まった。
最後は、みんなで絵しりとり。
順調に続いていた流れが、ひとつの絵で揺らぐ。
みずきちが描いた「おりづる」。
そこから友人が「月」。
その次にさのちゃんが続けたのは、「おりづる」を「おりがみ」と読み取り、「月」を「ルナ」と解釈したものだった。
同じ流れのはずなのに、少しずつ意味がずれていく。
一度混乱した空気の中で、「これどっち?」と確かめながら、なんとか軌道を戻していく。
遠回りしながらも、最後にはちゃんとゴールに辿り着いた。
言葉がうまく届かなかったり、同じものを見て違う意味を持たせたり。
そのすれ違いすら、笑いに変わっていく。
静かで、やわらかい一日。
でもその中で、確かに同じ時間を共有している感覚が、そっと残っていた。
