4月23日の物語
- 4月24日
- 読了時間: 2分
雨の音が、少しだけ強くラウンジに届いていた。
おだやかな時間が、ゆっくりと流れている。
そんな中で始まったのは、「狩歌」。
流れてくる歌を聞きながら、歌詞に含まれるキーワードを机の上から探し取る。
誰かが歌い出すと、それに耳を澄ませる時間が生まれる。
Disneyの曲、ボーカロイド、J POP。
選ばれる歌はばらばらで、だからこそ、その人らしさがにじむ。
後半になると、キーワードを拾うだけでなく、その言葉が入っている曲を歌わなければならない。
「あれ、なんだっけ」
懐かしいのに思い出せない曲。
初めて聞くのに、どこか引っかかるメロディ。
自然と笑い合いながら、少しずつ記憶を手繰り寄せていく。
誰かの歌を、ただ聞く。
それだけで、少し新鮮な時間だった。
その流れで、昨日の続きをなぞるように「ゴキブリポーカー」が広がる。
カードを伏せて、名前を告げる。
それが本当か嘘かを見抜く。
静かな駆け引き。
やり取りを重ねるうちに、少しずつ相手の癖を探るようになる。
そして最後に残ったのは、はるきだった。
勝った、というより、崩れなかった、という感覚。
そのことに、内心でそっと息をつく。
「よかった」
声には出さない安心が、少しだけ残る。
夜が深まってきた頃、りのが持ってきた一曲が、空気を変える。
『Day dream believer』。
次に関わる作品で使うというその曲を、みんなで奏でてみることになった。
簡単な楽器を手にして、主旋律とハモリに分かれる。
聞いたことはあるのに、歌詞までは知らなかったその曲を、ひとつひとつ確かめるように歌っていく。
「こんな歌だったんだ」
誰かがそう言って、また声が重なる。
最後は、全員で。
揃っているようで、少しずつ違う声。
それでも、不思議とまとまっていく。
雨の音の向こうで、歌がやわらかく広がっていた。
この日は、そこにいた全員で、同じ時間をつくっていた。
静かで、あたたかい一日だった。
