4月28日の物語
その日は、“やってみる”が自然に広がっていった。
「お芝居に興味がある」
かりんの友人のその一言から、物語は始まる。
友人が書いた小説。
その中の一場面を、みんなで形にしてみることになった。
かりんが「演出やりたい」と手を挙げる。
言葉だけだったものに、立ち位置が生まれ、動きが加わる。
「演出」「板付き」
聞き慣れない言葉に、少し戸惑いながらも、ひとつずつ理解していく時間。
〈満哉〉〈遥太〉〈優衣奈〉
小説上で名前だけだった存在が、声を持ち、動き出す。
短いシーンの中に、アクションも織り込まれていく。
かりんの指示のもとで、少しずつ形になっていくその時間。
書いた本人が、目の前で物語が立ち上がるのを見て、驚きながらも、嬉しそうに笑っていた。
やり終えたあと、ラウンジに残ったのは静かな達成感だった。
そこから、空気はまた変わる。
すずみーが前に立つ。
ダンスの時間。
流れ出したのは「スウィーツパラダイスリゾート」。
オリジナルの振り付けを、ひとつずつ覚えていく。
かりんや友人はすぐに追いつき、なつは少し遅れながらも食らいつく。
次第に眺めていた友人も審査員役として加わって、ダンスオーディションがはじまる。
すずみーの指導と、周りの支えの中で、最後には全員が同じリズムに乗る。
「踊りはパッションだから!」
その言葉が、場の空気をやわらかくまとめていく。
審査員役の友人たちが総評を述べていく。
結果は、全員合格。
「いい現場だ」と住民たちは口々に言い、全員が満足げに笑っていた。
誰かが誰かを支えて、誰かの挑戦をみんなで見守る。
その繰り返しの中で、自然と拍手が生まれる。
この日は、住民も友人も関係なく、同じ場所で、表現することに向き合っていた。
その時間の中で生まれる、小さな達成と、素直な称賛。
それが、ラウンジをあたたかく満たしていた。
