4月2日の物語
ラウンジには、少し先の楽しみを先取りするような、やわらかな準備の時間が流れていた。
明後日に控えた誕生日会。
その気配が、少しずつ形になっていく。
色とりどりの風船が膨らみ、空間に、ゆっくりと色が差していく。
みやびとれみーが向き合い、試行錯誤しながらアーチを組み上げていく。
「ドアみたいにする?」
その一言で、ただの装飾だったものが、“通り抜けるための場所”に変わる。
ふと振り向くと、友人の手の中に、四つ葉のクローバーのような風船。
せいとが静かに言う。
「幸せを呼ぶクローバー、ええなぁ」
その言葉に、自然とみんなが頷く。
形を整え、場所を決め、少しずつ“意味”が重なっていく。
途中、突然の大きな音。
振り向くと、金色の紙吹雪と、少し驚いたれみーの顔。
割れた風船の中から飛び出した紙吹雪が、まるで、れみーのお祝いをしているようだった。
失敗も、驚きも、すぐに笑いに変わっていく。
予定とは少し違う仕上がりになっても、「これもいいね」と言える空気が、そこにあった。
やがて、飾り付けは少しずつ整い、次に生まれたのはバースデーソング。
たいがとけんじを思い浮かべながら、言葉を重ねていく。
「元気はつらつ」
「ヒーロー」
そのイメージから生まれた、
『Birthday Hero Mission』という曲。
曲のタイトルから広がる、ミッションの構想。
誕生日会を楽しい時間にしてほしいという想いが、しっかりと形になっていく
まだ見ぬ当日の光景を、先に音として描くような時間だった。
誰かのために、何かを準備する。
そのひとつひとつが、もうすでに“お祝い”になっている。
この日のラウンジには、これから訪れる時間をやさしく待つ、あたたかな期待が満ちていた。
