4月5日の物語
- 4月6日
- 読了時間: 2分
昨日の余韻がまだ残るラウンジで、この日は片付けから始まった。
すぐに、その時間はただの作業ではなくなっていく。
チャンバラ棒を手にしたささみとたいがが、風船を叩き始めたことがきっかけだった。
「この4タイルから出ちゃダメ、風船を落とした方が負け」
けんじの一言で、遊びにルールが生まれる。
何度かラリーを重ねるうちに、ささみがふと気づく。
“一発目にスマッシュを決めれば勝てる”
そこからゲームは、どれだけ受け止められるかの勝負へと変わった。
単純で、少し理不尽で、でもなぜかやめられない。
その場にいた友だちが放った
「クソゲーって、クソだけど一番面白い」
その言葉に、誰もが少し納得していた。
その流れのまま、今度は“気配斬り”。
目を回すほどその場で回り、位置も感覚も曖昧なまま、相手を探す。
見えない中で、気配だけを頼りに動く時間は、思っていた以上に真剣で、思っていた以上に可笑しかった。
やがて遊びは、少しだけ形を変える。
「ちゃんとやってみたい」
ささみの一言で、殺陣の時間が始まった。
けんじとたいがが教え、ささみはそれを一つずつなぞっていく。
動きは少しずつ整い、その場の空気も、ほんの少しだけ引き締まり、稽古は次第に熱を帯びていく。
風にあたりながら、けんじが言う。
「ここは夢の通り道だ!」
その言葉で、また空気がほどける。
真剣でいて、柔らかさを失わないのがこの場所らしい。
最後は、その日の集大成のように、ヒーローショー風のアクション。
ささみを中心に、動きを組み立て、何度も繰り返して形にしていく。
うまくいかない瞬間も、そのたびに少しずつ揃っていく呼吸も、全部まとめてひとつの流れになっていた。
何度目かで成功すると、自然と笑い声が重なった。
片付けから始まったはずの一日。
気づけばずっと、誰かと何かをしていた。
遊びも、練習も、そのあいだにあるものも、全部が同じ場所に溶けていく。
この日のラウンジには、体を動かしたあとの、少し心地いい疲れと、同じ時間を過ごした確かな一体感が残っていた。
