4月8日の物語
- 4月9日
- 読了時間: 2分
春の気配が少しだけ近づいたラウンジで、その日はなぜか「試される日」になっていた。
きっかけは、つばさの一言。
「新学期という事で、入学試験やろう」
軽く始まったはずの入学試験という名の、つばさ出題クイズは、いつの間にか本格的な選抜へと変わっていく。
算数、歴史、発想力の問題が、出題される。
次々に出される問題に、いっちーとさのちゃんはあっさりと脱落する。
残ったのは、つばさの友人。
ようやく掴んだ“合格”の先に待っていたのは、「入学金800万円」という現実だった。
喜びと絶望が同時に訪れると、ラウンジはやわらかな笑いに包まれた。
程なく、つばさが急に、不思議なリズムゲームを始める。
巻き込まれるいっちーとさのちゃん。
なかなか回答はでず、テンポもどこか曖昧になる。
それでも、不思議と笑いだけは途切れない。
正解や完成よりも、その途中が面白い時間だった。
やがて話は、新学期へと繋がっていく。
「今日は、転校生が来てる」
というつばさの言葉に、嫌な予感を感じるさのちゃんといっちー。
即興で、「おもしろ転校生」を演じることに。
つばさのターゲットになったは、さのちゃん。
さのちゃん扮する、特徴的な話し方の人物が名乗ったのは、
「道標トモロヲ」。
出身地は「右」、
特技は「バッタのオスメスを見分ける」。
さのちゃんの思ってもいない言葉の数々に、ラウンジが笑いに包まれる。
やっとつばさの無茶振りから解放されたさのちゃんは、次はいっちーを巻き込む。
いっちーが演じた不思議な人物と、つばさの絶妙な返しに、笑いがどんどん大きくなっていく。
トリを務めたのはつばさ。
出身地は「東京靴流通センター」の言葉で、笑い声がさらに大きくなる。
次々に繰り出される即興とは思えないおもしろ自己紹介の数々に、言葉を発するたびに、笑いが生まれる。
誰かが笑い、誰かが乗っかり、また次の誰かが新しい何かを持ち込む。
この日のラウンジは、ひとつのことに集中するでもなく、それぞれが好きなことをしながら、同じ空間にいる時間だった。
遊ぶ人、話す人、眺める人。
それぞれの距離感のまま、でもどこか繋がっている。
秩序があるわけでも、ないわけでもない。
ただ心地よく、その場にいられる空気。
春のはじまりのような、少し軽やかな一日が、穏やかに流れていた。
