5月17日の物語
- 5月18日
- 読了時間: 2分
夕方のラウンジに、突然「ハッピーセット食べたくない?」という声が響いた。
発端はいっちーだった。
どうやら今のハッピーセットには、“マクドナルドロボ”のおもちゃが付いてくるらしい。
しかも、いっちーが欲しいのはナゲット型のロボ。
その話を聞いた瞬間、
「え、欲しい」
「ちょっと気になる」
と、次々みんなが乗っかっていく。
気づけば、住民も友人も巻き込んだハッピーセット大会が始まっていた。
中でも、かりんの友人は勢いが違った。
「じゃあ、俺三つ頼むわ」
その一言に、ラウンジがざわつく。
机の上に並んだハッピーセットは、全部で七つ。
紙袋とポテトとナゲットが広がる光景は、なんだか妙に高揚感があった。
開封の瞬間は、ちょっとした運試しだった。
いっちーが欲しがっていたナゲットロボは、まさかのかりんの手元へ。
「なんでぇぇぇ!!」
笑い声が上がる。
一方で、りのだけは最後まで、
「ちいかわが良かった……」
と静かに呟いていた。
ポテトをつまみ、ナゲットを分け合いながら、ラウンジはすっかり“マックパーティー”になっていた。
その様子を見ながら、かりんの友人が嬉しそうに笑う。
「まじ高校生みたいなことしてる笑」
「やっぱり、ここのラウンジは違うなぁ」
食べ終わったあとは、お絵描き大会が始まる。
お題は、初音ミク。
かりんは重ね塗りを丁寧に重ねながら、完成度の高い一枚を描き上げていく。
ささみは配色が綺麗で、見た瞬間に空気感が伝わるような絵だった。
りののミクは、どこか愛嬌があって、見ているだけで少し笑顔になる。
そして、いっちー。
途中までは確かにミクだったはずなのに、完成した頃には、もう何か別の物になっていた。
「大事なのは自由な心だから」
本人は堂々としていたが、周りは誰一人理解できていなかった。
さらにその流れで始まったのが、“3分ドローイングチャレンジ”。
制限時間は三分。
お題はAIが決める。
「傘を持って強風に耐える人」
「丸まって眠る狐」
「体をくねらせる蛇の魔物」
「羽根を広げるカラス」
「割れた仮面」
「大きく手を振るアイドル」
短い時間なのに、描き上がる絵は全部違う。
上手さだけじゃなく、
“その人がどう見ているか”が、そのまま線に出ていた。
可愛い方向へ行く人。
不気味に寄せる人。
なぜかギャグにしてしまう人。
描いている間は集中して静かなのに、
「それ何!?」
「え、発想すご!」
と会話はずっと途切れない。
同じお題を見ているはずなのに、誰ひとり同じ絵にはならなかった。
その違いが、なんだか少し嬉しい夜だった。
