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5月20日の物語

  • 5月21日
  • 読了時間: 3分

この夜のラウンジは、いつもの男子ノリとは少し違っていた。


机の上には開かれたパソコン。

途中まで書かれたホラー脚本。

そして、なぜかずっと進まない作業。


脚本リレーweek三日目。


“転”を担当するのは、いっちー、まさき、たいがたちだった。


ここまで繋がれてきた起承を読み返しながら、

「これどう転がす?」

「どういう結末にする?」

と、全員で頭を悩ませる。


そんな中、いっちーの友人がぽつりと言った。

「これ、この女の子にとって恋愛チャンスじゃない?」

その一言で、物語の空気が変わる。


ホラーだったはずの脚本に、急に“人間らしい感情”が入り込んだ。


そこから、いっちーが言う。

「ヒューマンホラーにしたいね」

その瞬間、みんなの中で方向性が決まった。


人間の感情がじわじわあふれ出す。


話し合うたび、登場人物たちの輪郭が少しずつ濃くなっていく。

……はずだった。


気づけば誰かが別のゲームを持ち出していた。


その日見つけたのは、『HITSTER』。


流れてきた曲を聞き、タイトルやアーティスト、そして“年代”を当てるゲームだった。


懐かしいイントロが流れるたび、

「あーーー!!知ってる!!」

と歓声が上がる。


でも、“いつの曲か”までは意外と分からない。


「これ2012じゃない?」

「いや絶対もっと前!」


結局ほとんど勘だった。

それでも、なぜか全員そこそこ当たる。


特に盛り上がっていたのは、まさきのお手つきだった。

勢いだけで回答を言い、

「あ、違ったわ」

を何度も繰り返す。


最後まで全然カードは集まらなかったのに、なぜか一番楽しそうだった。


さらにそのあと、『エイゴダーケ』も始まった。

英語だけでお題を説明するゲーム。


ところが今回は、いっちーとたいがの友人に、本当に英語が得意な人がいた。


「Oh, this is kind of〜」


一言目から発音が綺麗すぎる。

速すぎる。

誰も何を言っているか分からない。


一瞬の静寂のあと、ラウンジに爆笑が起きた。

「待って、強すぎるって!」


気を遣って、

「ちょっと日本語英語にしますね」

と発音を寄せてくれる。


それでも、単語そのものを知らない。


結局、みんなが苦し紛れに出す

「big!」

「very hot!」

みたいなカタコト英語の方が、なぜか一番伝わっていた。


気づけば、時計はかなり進んでいた。

「やば、脚本!!」

慌ててパソコンへ戻る三人。


笑いながら、また真面目な顔になる。

物語はいよいよ結末へ向かい始めていた。


ここからどう結末に向かうのか。

結末まであと少し。


けれど、その“あと少し”のところで、手を止めた。

続きを書くのは、また別の日の誰か。


登場人物たちがどんな最後を迎えるのか。

みんな少しワクワクしながら、次の担当へ物語を託していた。


脚本を書いて、煮詰まったらゲームをして、またふざけて笑う。


やるべきことはあるのに、どうしても脱線してしまう。


まるで、みんなで宿題をやっているのに終わらない放課後みたいな夜だった。

 
 

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