5月21日の物語
- 5月21日
- 読了時間: 2分
脚本WEEK、ついに4日目。
りの、なつ、すぎ、そして遊びに来てくれた友人たちは、まずこれまでに書き上げられた脚本を最初から読み返していた。
week1、week2で積み上げられてきた怖い体験談。
特に、みんなの記憶に強く残っていたのは“サイドミラー引っかかり婆”という、妙に語感だけ怖い存在だった。
けれど、week3に入ると空気が変わる。
男女で部屋割り。
混浴。
「すげぇラブコメじゃん」
「これ恋愛リアリティショー?」
「男子たちが書いた内容だなぁ!」
ページをめくるたび、猛烈なツッコミが飛ぶ。
それでも、ふざけているように見える展開の中に、ちゃんと伏線が散りばめられていた。
誰かが何気なく置いた違和感や、不自然な会話。
「これ回収できそうだね」
笑いながらも、少しずつ物語は再び“ホラー”へ戻されていった。
けれど、読み進めるうちに、登場人物たちの設定がまだ薄いことにも気づく。
「性格だけじゃなくて、もっと核になるもの欲しいよね」
そこからは、まるで推理会議だった。
「男1と男2、人喰いにする?」
「女2は女1のこと好きとか?」
「主人公、男2の方が面白くない?」
思いついた案を片っ端から並べていく。
そして最後に残ったのは、
“女2と翁がグルで、人喰いの風習を持つ地域の生まれ”という設定だった。
その流れで、みんなずっと“おきな”を「爺」だと思っていたことが発覚する。
「待って、“翁”と“爺”って違くない?」
なつの一言で空気が止まり、全員で漢字を確認した瞬間、ラウンジがざわついた。
「ほんとだ!!!」
ホラーを作っていたはずなのに、なぜか漢字知識まで深まっていく。
そんな寄り道を繰り返しながらも、脚本は少しずつ形になっていった。
セリフの言い回し。
誰がどこで違和感を出すのか。
伏線をどう回収するのか。
散らばっていたピースが、ゆっくりひとつの絵になっていく。
気づけば、時間ぎりぎり。
最後にみんなで読み合わせをしてみると、思っていた以上に物語がちゃんと“怖かった”。
「……私たち、すごくない?」
誰かがそう言って、みんなが笑う。
今週、毎日誰かが繋いできた言葉たちが、ちゃんと一つの作品になっていた。
ホラーなのに、どこかあたたかい達成感がラウンジに残っていた。
「明日も来たいね〜」
そんな声が、帰り際まで静かに漂っていた。
