5月22日の物語
- 5月23日
- 読了時間: 3分
脚本リレーWEEK、最終日。
四日間かけて繋がれてきた物語が、ようやく一つの形になる夜だった。
ラウンジでは、なつが「新しいゲーム増えてるからやってみたいんだよね」と箱を抱えてきていた。
『ぽいよね』ゲーム。
机に並べられた絵柄カードを見ながら、親が「この絵柄はこの人っぽい」と理由をこじつけ、名前を書いて伏せていく。
他のプレイヤーたちは、その“ぽさ”を読み解きながら答えを当てるゲームだった。
最初の親は、はるき。
みんなのことを眺めながら、一枚ずつカードを置いていく。
結果、正解したのは“フランスパン=なつ”だけだった。
「え、なんで!?」
「いや、これは分かるって」
はるきが理由を説明すると、みんなが妙に納得してしまう。
その人の雰囲気とか、喋り方とか、笑い方とか。
一緒に過ごしているうちに見えてくる“なんとなく”が、ちゃんと形になっていた。
親を交代しながら続けていくうちに、少しずつ全員の考え方が読めるようになっていく。
れみーが親になった最終戦では、
「これはいける!」
と、全員が勝利を確信していた。
けれど最後の一枚で選択を間違える。
「あーーー!!!」
悔しさで机を叩きながら、それでもみんな笑っていた。
あと少し届かなかった、その感じまで含めて楽しかった。
その後、ついに脚本リレーWEEKで完成した脚本を読むことになった。
「もとき役、水瀬元春です!」
キャスト紹介から始まり、ラウンジに朗読の声が広がっていく。
最初は笑いながら聞いていたみんなも、読み進めるうちに空気が変わっていった。
「胸糞系だ……」
「え、みお怖」
「なんで殺されたの?」
感想と考察が次々飛び交う。
結を書いた木曜メンバーの一人だったなつが、静かに補足する。
「こどもの日に、子どもたちが男女の遺体を食べるのが村のしきたりなんだよね」
その瞬間、ラウンジにぞわりとした空気が満ちた。
さっきまで笑っていたはずなのに、急に物語が狂気を帯びる。
もう一度読んでみよう、となって、今度は配役を変える。
女性役には、はると男友達。
爺役には、はるき。
同じ台本なのに、声色が変わるだけで印象がまるで違った。
意味が分かると怖い絵本を読んでいるみたいだった。
「オーディションからやり直して読みたい!」
はるが、女性役への妙な熱量を見せていた。
そして最後に残ったのは、タイトルだった。
「みんなで考えてみない?」
はるきがホワイトボードを配る。
じゃんけんで順番を決め、ひとりずつタイトルを発表していく。
真面目なもの。
意味深なもの。
なぜそれにしたのか分からないもの。
プレゼン大会みたいになったラウンジは、ずっと笑い声で満ちていた。
「せーの!」
投票の結果、友人案の『肉食女子』をわずかに上回り、れみーが考えた『見慣れた顔🙂😃☺️』が選ばれた。
そのタイトルを見た瞬間、みんなまた笑っていた。
怖い話を書いていたはずなのに、最後にはこんなふうに笑って終わっている。
四日間、いろんな人が少しずつ繋いだ物語。
その続きを考えて、笑って、怖がって、また書き足して。
帰り際、友人が満面の笑みで「楽しかった!」と言った。
その一言が、初めての脚本リレーWEEKの終わりを、いちばん綺麗に締めくくっていた。
