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5月23日の物語

  • 7 日前
  • 読了時間: 2分

ラウンジでは、誰かが刀を持つと、自然と人が集まってくる。


この日も、そんな空気から始まった。


けんじとくぼりおが向かい合い、ゆっくりと距離を測る。

刀が交わる音が、静かなラウンジに小さく響いた。


「ここ、もう少し引きつけてから斬ると映えるかも」


過去にそれぞれが立ってきたアクション現場の話をしながら、二人は少しずつ立ち回りを組み立てていく。


その横では、せいととさのちゃんが、現場で覚えた抜刀と納刀を披露していた。


抜く速さだけじゃない。

鞘に戻すまでの“間”や、“見せ方”まで含めて殺陣なんだと分かる。


「日本殺陣って、型が綺麗なんだよね」

「でもエンタメ殺陣は魅せ方が派手で好き」


そんな話をしているうちに、気づけばみんなが輪になっていた。


誰かが技を見せれば、「おぉ」と声が上がる。

うまくいかなくても、笑いながら何度も試してみる。


やがて、けんじが部屋からヌンチャクを持ってくる。


それだけで空気が少し変わる。

するすると回るヌンチャクに、友人たちの視線が集まった。


「やってみたい!」

そこから、即席のヌンチャク練習会が始まる。


最初はみんな恐る恐るだった。

自分の肩に当たりそうになって笑ったり、うまく受け止められなかったり。


けれど、教わるたびに少しずつ形になっていく。

「え、今の上手かった!」

感覚を掴むのが早い人ばかりで、目に見えてレベルアップしていくのが分かった。


できなかったことが、急にできるようになる瞬間。

そのたびに、ラウンジに拍手が起きる。


夜が少し深くなったころ、友人が『サンレンタン』をやりたいと言い出した。


“人の価値観を当てるゲーム”。


最初に価値観を当たられるのは、せいと。


「これ絶対こうでしょ」

「いや、せいと意外とこっち選ぶタイプじゃない?」

みんなが本気で考え始める。


そして実際に答えが開かれるたび、

「え、当たってる!」

と驚きの声が上がった。


せいとは、自分の考えを思った以上に友人たちに見抜かれていたことに驚いていた。


くぼりおも、けんじも。


案外、人はちゃんと見られている。


好きなもの。

選びそうなもの。

なんとなく、その人っぽいもの。


ゲームをしながら、少しずつお互いの輪郭を知っていく時間だった。


話したい人は話し、

ゲームをしたい人はゲームをして、

刀を振りたい人は刀を振る。


自由なのに、不思議と誰かの楽しさがちゃんと周りへ伝わっていく。


それぞれの時間が、ゆるやかに混ざり合う夜だった。

 
 

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