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6月11日の物語

6月11日
読了時間: 3分

ラウンジには、穏やかな笑い声がゆっくりと広がっていた。


何か特別な出来事が起きたわけではない。ただ、誰かの思い出話が別の誰かの記憶を呼び起こし、気づけばみんなが少しだけ昔に戻っていた。


きっかけは何気ない身体の話だった。


れみーが学生時代、見知らぬ後輩からふくらはぎを褒められた話をすると、そこから自然と学生時代の思い出話へと繋がっていく。


頭髪検査や手荷物検査。

夏服の話や制服の話。


すぎちゃんが「暑い夏はポロシャツだったな」と懐かしそうに言えば、くぼりおも同じだったと頷く。


それぞれ違う学校に通っていたはずなのに、不思議と重なる記憶も多かった。


バレンタインの話では照れ笑いが生まれ、昔のちょっとした恋の話では小さな歓声も上がる。


「学生っていいよね」

誰かがそう言った時、友人の一人がぽつりと答えた。


「でも、今の方が自由で充実してるかも」

その言葉に、みんなが自然と笑顔になった。


過去を懐かしみながらも、今を好きだと言えることが、なんだか素敵だった。


話題はやがて、大好きな場所へと飛んでいく。

ディズニーの話だった。


海外のパークに行ったことがある友人の体験談に、羨望の声が飛び交う。


日本のパークの話になると、細かな設定やアトラクションの話が次々と飛び出した。


知らない人にはきっと伝わらないくらい細かな話なのに、その場にいる全員にはちゃんと伝わる。


好きなものを語る人の目は、いつだって少しだけ輝いて見える。


そして最後には、誰からともなく同じ結論に辿り着いた。


「ディズニー行きたい!!」

その言葉に全員が大きく頷いていた。


思い出話と夢の話で満たされたあと、今度は音楽が始まる。


れみーが見つけてきた海外の動画をきっかけに、三人で『Made You Look』のハモリに挑戦することになった。


くぼりおが主旋律。

れみーが上ハモ。

すぎちゃんが下ハモ。


音を探しながら歌い始めるものの、途中で自分のパートを見失ってしまう。


「あっ、ごめん!」

「いいよー!もう一回!」

そんなやり取りが何度も繰り返された。


失敗しても誰も焦らない。

むしろその度に笑い声が増えていく。


少し前まで学生時代を語っていた人たちが、今度は一つの音を作ろうとしている。


気づけば三十分ほどが過ぎ、一本の動画が完成していた。


ほんの思いつきだったはずなのに、ちゃんと形になっている。

そのことが少し嬉しかった。


思い出話をして、好きなものを語って、歌を重ねる。

特別ではないけれど、たしかに心に残る時間。


友人たちと笑い合う何気ないひとときが、実は宝物なのかもしれない。

そんなことを、ラウンジのやわらかな空気がそっと教えてくれた一日だった。

 
 

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