6月13日の物語
ラウンジには、休日らしいゆるやかな賑わいが広がっていた。
面白いネタや新しい引き出しを増やしたい。
そんな話から、その日はボードゲーム棚を眺めるところから始まった。
せいと以外は邦楽にそこまで詳しくないということで、まず選ばれたのは『HITSTER』だった。
流れてくる曲を聴き、その曲名やアーティスト、発売年を予想して年代順に並べていく。
聞いたことはあるのにタイトルが出てこない曲。
そもそも初めて聴く曲。
世代によって知っている曲が違うことも面白くて、
「あー!これ絶対知ってる!」
「誰だっけ!?」
そんな声が何度も飛び交った。
最初は新しい知識を増やそうという気持ちだったのに、気づけば全員が真剣な顔になっている。
ゲームは不思議だ。
遊びながら、いつの間にか本気になってしまう。
続いて友人のひとりが『インサイダーゲーム』をやりたいと言い出した。
ところが、せいと、いっちー、けんじ以外はほとんどルールを知らない。
質問がなかなか出てこなかったり、推理が思うように進まなかったり。
その結果、インサイダーが驚くほど分かりやすくなってしまった。
インサイダー役になったいっちーとせいとは、
「このインサイダー難しすぎる!」
と頭を抱える。
隠れるはずなのに隠れられない。
そんな予想外の展開に、ラウンジは笑いに包まれていた。
ゲームがひと段落すると、今度は自然と趣味の話になった。
それぞれが好きなことを語り合い、知らないジャンルのクイズを出し合う。
その流れで、けんじといっちーの話題はウルトラマンへ向かっていった。
二人は楽しそうだったが、周りは少し置いてけぼりになる。
すると、
「どうしたら知らない人にも面白く伝わるかな」
という話になった。
そこで二人は、ただ知識を語るのではなく、エピソードとして話してみることにした。
ウルトラマンの出来事をまるで昔話のように語り、時には大げさに、時には芝居のように。
すると、それまで知らなかった友人たちも自然と笑い始める。
好きなものを語ることと、相手に伝えることは少し違う。
でも、その間を埋める工夫こそが面白いのかもしれない。
知らない世界だったはずなのに、気づけばみんなが耳を傾けていた。
ゲームをして、笑って、好きなものを語る。
特別な出来事ではないけれど、それぞれが少しだけ自分の世界を持ち寄った一日だった。
そしてラウンジには、誰かの好きなものを「面白いね」と受け取ってくれる人たちの、やさしい空気が静かに流れていた。
