top of page

6月15日の物語

6月16日
読了時間: 3分

ラウンジには、どこか冒険の始まりを待つような空気が漂っていた。


この日から始まる脚本リレーWEEK。

最初の一日目は、物語の土台を作る大切な役目を担っていた。


「最初がいちばん重要だから、ちゃんと考えたいな」


ささみがつぶやき、みんなが頷く。

どんな世界にするかを話している中で、ささみがふと思いついたように口を開いた。


「ドラクエ12の当初のコンセプトだったダークファンタジーをやってみませんか?」


ドラクエ好きのうめしゅーは、その提案を快く受け入れた。


そこからは全員で世界を作る時間だった。

友人たちが登場人物の名前を考え、国の名前を考える。


妖精国ティーア・ナ・シノアーリン。


不思議な響きを持つその名前が生まれた瞬間、まだ何も書かれていない物語に輪郭が宿った気がした。


せいとやささみ、友人たちがアイデアを話し、うめしゅーが言葉を紡いでいく。

三時間ほどかけて千文字を超えた頃には、妖精の国から始まる物語が静かに動き出していた。


次の舞台は人間界。

続きを書くのは明日のメンバーだ。


「この先どうなるんだろう」

そんな期待を抱きながら、友人たちは完成した冒頭を眺めていた。


物語を作っている横では、別の事で盛り上がっていた。

ほとんどボードゲームをやったことがない友人がいたため、せいとが取り出したのは『トマトマト』だった。


単純そうに見えて、だんだん言葉が絡まっていくゲーム。


最初は少し緊張していた友人も、何度か遊ぶうちに表情が柔らかくなっていく。

「トマトマトトマトマトマト……」

長い文章を言い切るたびに拍手が起こる。


誰かが成功すればみんなで喜び、失敗すればみんなで笑う。

そんな空気が自然とできあがっていた。


せいとやささみも途中から本気になっていた。

急かされながらも最後まで言い切ると、

「さすが俳優だ」

と声が飛ぶ。

二人とも少し照れながら、どこか満更でもなさそうだった。


大きな物語を作る時間もあれば、言葉遊びで笑い合う時間もある。

そのどちらにも共通していたのは、人が集まって何かを共有する楽しさだった。


顔なじみの友人たちがそれぞれ好きなことをしながら過ごし、ときどき同じ輪の中で笑い合う。

誰かがいても、ひとりでいても居心地が悪くならない。

そんな不思議な安心感がラウンジには流れていた。


妖精の国で始まった物語も、トマトマトの賑やかな笑い声も、その日の終わりには同じ場所の思い出になっていた。

続きが気になる物語を残したまま、六月の夜は静かに更けていった。

 
 

最新記事

すべて表示
9月16日の物語

雨のせいか、この日のラウンジにはいつもよりゆっくりとした時間が流れていた。 それでも、誰かの隣には自然と誰かがいて、話し声が静かに途切れることはなかった。 ゲームにも少し飽きてきた頃、まさき、たいが、いっちーの三人はダーツを始めることに。 最初こそ点数を数えていたものの、次第に面倒になり、なぜか「最初にブルへ入れた人が負け」という男気ダーツが始まった。 真剣にブルを狙いながら「入るな!」と叫ぶ、矛

 
 
9月15日の物語

この日のラウンジは、みずきち、がくし、はるきと、遊びに来た友人たちでゆったりと始まった。 大勢で囲むような賑やかさとは少し違う。 それでも、誰かが何かを始めれば、自然とみんなの視線がそこへ集まり、気づけば笑い声が重なっている。 そんな近い距離感の夜だった。 始まりは、がくしが一昨日行われた「メロい先輩選手権」を振り返ったことから。 「そもそも、メロさとは何か」 答えを探すべく、みずきちとはるきに“

 
 
9月14日の物語

久しぶりに顔を見せてくれた友人も多く、この日のラウンジはあちこちで話が弾んでいた。 そんな中、りのと友人たちが始めたのは、おじさん構文を作るゲーム。 手札を組み合わせるたびに、絶妙に嫌な距離感のメッセージが次々と誕生する。 読み上げるたびに悲鳴が上がり、それ以上の笑い声が返ってきた。 やがて「最高の文を考えよう!」と、勝ち負けそっちのけで全員の知恵を集め始める。 そして完成したのが、 「オジサンサ

 
 
bottom of page