6月16日の物語
更新日:6月18日
ラウンジには、この日も脚本リレーWEEKの続きを紡ぐための静かな熱気が漂っていた。
前日に生まれたダークファンタジーの物語。
その続きを担当するのは、たいが、みずきち、みやびの三人だった。
昨日一緒に物語の行方を追っていたともだちも集まってくれて、まずはこれまでの流れをみんなで読み返すところから始まる。
妖精国ティーア・ナ・シノアーリンから始まった物語。
登場人物たちの関係性を書き込みながら、一つひとつ確認していく。
「あ、この人とこの人ってこういう関係だよね」
「ここ、もっと深掘りできそう」
そんな会話を重ねるうちに、誰かがぽつりと言った。
「幼少期を描きたいな」
その一言から、登場人物たちの子ども時代をみんなで考える時間が始まった。
みやびやみずきちが言葉を探りながらアイデアを出し、友人たちは静かに耳を傾ける。
頷きや相槌が返ってくるたび、物語の輪郭が少しずつ濃くなっていった。
自分たちが書いた続きが、明日のメンバーにどう受け取られるのか。
そんな期待を抱きながら、物語は次のページへと進んでいく。
みんなが執筆に集中する中、床がわずかに揺れた。
「あ、地震だね」
最初は誰かがそう呟く程度だった。
けれど次の瞬間、一斉にスマートフォンが鳴り始める。
胸の奥がきゅっと縮むような、あの警報音。
空気が変わった。
扉を開ける人。
倒れそうな物を押さえる人。
安全な場所を確認する人。
ほんの数秒前まで脚本の話をしていた人たちが、それぞれ迷いなく動いていた。
幸い大きな被害はなく、やがてラウンジには安堵の息が戻る。
友人たちは、その落ち着いた対応に感心した様子だった。
しばらくすると、いつものラウンジの安心感に包まれる。
たいががふとペンを持ち、お絵描きを始めた。
みずきちとみやびが真剣に脚本へ向かう横で、
「お題ちょうだい!」
と何度も声をかける。
そこで与えられたのは、たまごっちのキャラクターたちだった。
順番に描いていくたいが。
意外にも特徴をよく捉えていて、みやびは感心する。
すると今度は、本物と架空のキャラクターを混ぜて出題し始めた。
何も知らないたいがは真剣そのものだ。
それを見ながら、みやびとみずきちはこっそり笑いを堪えていた。
最後に、
「こいつとこいつはいないよ」
と種明かしされる。
たいがは一瞬固まり、
「いないんかーい!」
と見事なツッコミを返して、ラウンジに笑い声が広がった。
物語を考え、絵を描き、笑い合い、そして予期せぬ出来事にも向き合う。
慌ただしくも不思議と温かな一日だった。
誰かが書いた物語の続きを考えるように、人は日々の出来事にも続きを重ねていく。
この日紡がれた脚本も、そしてみんなで過ごした時間も、また次の日へと静かに引き継がれていった。
